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EU、鳥インフルエンザ対応で動物衛生・医療担当が初会合


鳥インフルエンザへの対応のため各国の動物衛生と医療の担当局長が初会合

  欧州委員会は9月22日、EU各国の動物衛生担当局長と医療担当局長による初の合同会議を開催した。
これは、鳥インフルエンザの脅威とそのウイルスが変異して人間に感染した場合に、両当局が協調して対
応できるよう行われたものである。

 この会合において、両当局はサーベイランス、予防対策、準備計画作成での緊密な連携を目指すことと
した。具体的には、EUにおいて鳥インフルエンザが流行した場合、農場段階でのウイルスの撲滅と、感
染した鳥に接触することによる人間への感染防止を図るため、獣医と医者の協調性のとれた迅速な対応方
法の確立を目指すとしている。
 
 マルコス・キプリアヌ委員(保健・消費者保護担当)は、「EUや各国レベルでの動物衛生当局と医療
当局の協調が、アジアで流行している鳥インフルエンザが変異して人間での世界的なインフルエンザの流
行を防ぐために最も重要なことである」と述べた。



人間への感染に対するこれまでの対応

 EUは、アジア地域において鳥インフルエンザウイルスの発生後に同ウイルスの感染により死亡者が出
ている事例を背景に、人間へ感染したウイルスが、さらに人から人に感染するものへと変異する可能性に
ついて懸念を抱いている。

 そこで欧州委員会は2004年3月20日、域内でのインフルエンザ感染への準備と対応計画を発表していた。
この発表以降、@加盟国や世界保健機関(WHO)とともに各国における準備計画の作成や改善、Aイン
フルエンザウイルスの脅威に取り組むための動物と人の健康に関する研究施設のネットワークの構築、
B鳥・人のインフルエンザの専門家による合同のワークショップの開催−などを行ってきた。



両当局の今後の連携強化を確認

 今回の会合において取りまとめられた結論および勧告の概要は次のとおりである。

・動物と人間に対するインフルエンザウイルスの脅威は分けてとらえる必要があるものの、危機管理のた
  めの予防対策や準備を確実にするため、各国の両当局は協力する。また、EUは国連食糧農業機関(F
  AO)、国際獣疫事務局(OIE)、WHOなどの国際機関との連携を継続する。

・両当局は、欧州委員会などの動物と公衆衛生の専門家との定期的な意見交換を行っているが、今後とも
  引き続き重大な結果については情報が知らされるよう求める。

・両当局は、EU加盟各国が取り組む人間への感染防止対策が適切に行われていることを理解し、これに
  関して現在EUが取り組んでいる指導の発展に協力する。

・両当局は、公衆衛生と動物に関するそれぞれのサーベイランスシステムを各国レベルで協力させていく
  ために、さらなる努力を必要とする。

・アジアで鳥インフルエンザに侵されている国々、特に途上国への同病に対する支援の強化を必要とする。

・鳥や人間へのインフルエンザのリスクやその対策については、オープンで分かりやすく提供する。 



◎オランダ、屋外での家きん飼養禁止措置を解除

 オランダ農業・自然・食品品質省は9月26日、鳥インフルエンザ対策として、農家が屋外で家きんを飼
養することを禁止していた措置(海外駐在員情報第686号参照)を解除すると公表した。これは、ロシア
やカザフスタンで発生した鳥インフルエンザの状況が安定し、野鳥などの飛来による感染拡大の可能性が
低減したことによる。

 これにより、9月29日より家きんの屋外での飼養が可能となるが、渡り鳥の飛行経路に当たる高リスク
地域では、その排せつ物に接触する可能性もあることから、感染を防ぐために、屋外で飼養する場合も屋
根などを設ける必要があるとしている。


【ブリュッセル駐在員  和田 剛 平成17年9月28日発】


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