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EU、Tボーンステーキ解禁に向け前進


脊柱の除去月齢を12カ月齢超から24カ月齢超へ引き上げることに合意

  EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は10月5日、特定危険部位(SRM)として指定している
脊柱の除去月齢を12カ月齢超から24カ月齢超に引き上げる欧州委員会の提案に合意した。今後の欧州議会
による調査などを経て、2カ月後に最終決定される見込みとなっている。今回の提案は、欧州委員会が本
年7月に今後のEUのBSE対策の見直しの方向を示した「TSE指針(Roadmap)」の発表後、最初の
見直しの提案となる。
 
  EUでは、SRMの除去を2000年10月以降義務付けている。SRMの一つに指定している12カ月齢超の
牛の脊柱は、全加盟国を対象に、除去・処分することとなっている。したがって、ロースとヒレを脊柱ご
とカットしたTボーンステーキなどの骨付き肉は、一部の輸入牛肉を除き販売されていない。また、Tボ
ーンステーキなどの肉は、一般的に22〜30カ月齢の牛から生産されていたものであった。今回の合意によ
り、EUでのTボーンステーキなどの骨付き肉解禁に向け前進したことになる。


EFSAの見解などに基づき24カ月齢超と決定

 EUのBSE撲滅のための対策により、BSE陽性牛頭数が減少し、また、その月齢は着実に上昇して
おり、対策の見直しが検討できる状況となっている。SRM除去月齢の見直しの決定に科学的な根拠を持
たせるべく、欧州委員会は牛のSRM除去の月齢の制限に関する評価を欧州食品安全機関(EFSA)に
依頼した。これに対し、EFSAは2005年4月、SRMの除去月齢を30カ月齢以上に引き上げることにつ
いては、「相当な水準ではあるが、完全に安全な水準ではない」と結論付ける見解を発表した。

  欧州委員会が現在の対策の見直しで最も重要と考えていることは、消費者への高いレベルでの保護を保
証することとしている。上記のEFSAの見解および加盟国と欧州議会の意見を考慮し、欧州委員会は、
24カ月齢超が最も現実的な脊柱の除去月齢であるとした。24カ月齢またはそれを超える牛は、ほかの若い
牛と比べ、月齢の判断などの確認が容易なこと、また、と畜場において獣医が検査する上での区切りとも
なっている。従って、24カ月齢とすることは、同月齢超の脊柱除去を確実とする効果のあるものであると
している。

  脊柱の除去月齢を引き上げることについて欧州委員会は、農家や食肉業界での競争において、前向きな
影響があることを期待するとともに、EUでのSRM由来の廃棄物の量が減少することを期待している。


◎EU、トルコ産およびルーマニア産家きん肉などの輸入を一時停止

 欧州委員会は10月9日、トルコ北西部のバリケシールの屋外で1,800羽の七面鳥を飼養する農家で、10
月1日以降1,700羽が鳥インフルエンザで死亡したとの情報を受けた。同国での研究所での検査では、鳥
インフルエンザウイルスの陽性反応が出ている。

  欧州委員会は10月10日、これを受け、生きた鳥(家きんを除く)および未処理の羽毛の輸入を一時停止
する委員会決定(2005/705/EC)を適用した。なお、同国からの生きた家きん、鶏卵、家きん肉、家き
ん肉製品(最低70℃で加熱処理されたものなどを除く)の輸入は、今まで認められていなかった。

  トルコ政府は、正確な結果を得るため、EUの参照研究所にサンプルを送付した。

  欧州委員会は10月13日、同研究所で検査した結果、数カ月前にロシアや中央アジアで発見されたウイル
スと同じH5N1型であったことを発表した。

  また、欧州委員会は10月13日、ルーマニアで鳥インフルエンザの疑う事例の検査結果がH5型であった
ことを受け、同国からの生きた鳥、家きん肉、家きん肉製品の輸入を一時停止することを決めた。今回検
査されたウイルスがH5N1型であるかの特定にはさらに時間が必要である。


【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成17年10月13日発】


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