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牛肉は停滞も乳製品は価格、輸出ともに好調 豪州農業資源経済局(ABARE)は9月19日、四半期ごとに行っている最新の第一次産品生産 予測を発表した。 この中で2005/06年度の牛肉生産について、豪州国内での牛群再構築に伴うと畜頭数の減少から生 産量は前年度を下回るが、主要輸出国での米国産牛肉の輸入再開などが影響し、肉牛市場取引価格、 輸出単価ともに下落に転じるとみている。一方、乳製品については、世界的な需要は鈍化するもの の、全体的な供給量の停滞により価格は高水準での推移が予想され、豪州の酪農産業は好調を維持 できると報告している。見通しの概要は以下のとおり。 ○牛肉−肉牛価格は前年度比4%安 好調な輸出を背景に高水準で推移した2004/05年度の肉牛市場取引価格についてABAREでは、 2005/06年度は、下落が避けられないとしている。この要因として、2006年初旬にも予想される日 本市場での米国産牛肉の輸入再開問題、また、米国市場における豪州産牛肉の需要緩和などを挙げ ている。しかし、国内では、2002/03年度の干ばつ以降、落ち込んでいた肉牛の飼養頭数を回復さ せる動きから、農家段階で牛群再構築が進み、出荷頭数の減少で肉牛市場取引価格の下落に若干の 歯止めがかかると期待している。 ABAREの予測では、2005/06年度の肉牛市場取引価格を前年度比4%安の1キログラム当たり 307豪セント(267円:1豪セント=0.87円)、日本向けの牛肉輸出量は同6%減の39万2千トン、 同じく日本向け平均輸出単価は同6%安の1キログラム当たり417豪セント(363円)としている。 ○乳製品−需給は緩和も引き続き好調 2005/06年度の乳製品需給状況についてABAREでは、世界的な経済成長率の伸びは鈍化との予 測と同様に、2004/05年度に比べ全体的に需要は鈍化傾向で推移するとみている。しかしながら、乳 製品価格については、豪州、ニュージーランドの生乳生産が拡大傾向にあるものの、EUの輸出補 助金削減など他の乳製品輸出地域からの供給が制限されることで、引き続き高水準を維持するとし ている。この結果、豪州の酪農産業は、好調を維持できると報告している。 ABAREの予測では、生産者平均収入を前年度比6.5%高の1リットル当たり33豪セント(29円)、 乳製品輸出総額は前年度比1.6%増の24億5,600万豪ドル(2,137億円)としている。 ◎連邦裁判所、豚肉生産者団体支持の一審判決を却下 豪州連邦裁判所は9月16日、豪州の豚肉輸入規制緩和に関連し、豚肉生産者団体であるオースト ラリアン・ポーク・リミテッド(APL)の訴えを認めた一審判決を覆し、連邦政府の判断を認め る判決を下した。2005年5月の一審判決では、輸入豚肉の新たな検疫基準が不適切と主張したAP Lの訴えが認められていた。今回の判決について連邦政府は、われわれの基準が正しかったとし、 早急に執行する用意があることを表明した。一方、当事者であるAPLは、裁判所の判断に誤りが あるとした上で、上告を含め今後の対応を検討するとの見解を発表した。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年9月21日発】
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