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食肉衛生水準向上策の現状 タイ農業協同組合省畜産開発局(DLD)は8月、国内で生産される食肉の品質向上のため2005年の 畜産開発計画に基づき推進している、食肉衛生計画に基づき認定した参加事業所数を公表した。 このプロジェクトに参加する企業は、大手ではCP、ベタグロ、サハファームなどで、認定加工場 数は豚肉12工場、ブロイラー22工場、アヒル肉2工場となっている。一方、「Qショップ」と呼ばれる 衛生基準を満たすと承認された食肉販売所(ウェットマーケットなど)は520カ所、うちバンコク市内 のものは356カ所とされた。 また、DLDが畜種ごとに定める一定の基準を満たす標準農場として3,450カ所が登録された(内訳 は豚96、鶏2,837、アヒル517)。 DLD所属の畜産品規格・認証部が同月に公表した計画の詳細では、冷蔵・冷凍豚肉および家きん 肉(内臓などくず肉を含む)の衛生品質向上を図ることを主眼としており、特に腐敗や食中毒の原因 となる細菌数を下げることと、生産段階で使用される人体に有害な化学薬品の残留を防止することに 重点を置くとされた。またこの計画により、消費者に安全性の高い製品を選択する余地を与え、食肉 をタイから輸入する国々に対し安全性をアピールすることで輸出拡大につなげたい、などとしている。 事業所の承認に当たって要求される基準などは下記のとおり。 ○申請に際しての条件 農場段階では立地や飼養頭数、環境対策を含めた農場管理の概要、給与飼料調達先および給与方 法、使用する薬剤やワクチンの種類とその用法などを報告する必要があり、流通に際しては農場か らと畜場までの距離や運搬履歴の報告が求められる。一方、と畜場では市場へ出荷する製品の内訳 や、輸送方法の詳細を報告する必要があるほか、DLDが定める衛生条件を満たしていることが前 提で、これに加えて必要が生じた際に生産農場を特定するために必要なトレーサビリティーを確保 する必要がある。 ○定期検査 登録された農場に対しては抜き打ちで出荷する家畜の血液・尿検査(100頭当たり3検体抽出)を 行うこととし、農場立ち入り検査、飼料成分分析なども適宜行う。 と畜場ではサンプル抽出検査で殺虫剤、サルモネラなどの細菌検査、その他人体に影響を及ぼす 薬剤残留濃度を測定する。 販売施設では月に1回と畜場と同様のサンプル抽出検査を行うとともにパッケージや保管が適切 かどうか検査を行う。 ○罰則 サンプル抽出検査の結果、DLDの基準を超える薬剤の残留などが認められた場合、1回目は当 該事業所に対する認定の停止、2回目からは承認が失効し、同時に法規で定められた罰則が科せら れる。 ◎タイ食品輸出振興策の現状 タイで「キッチン・オブ・ザ・ワールド」と呼ばれる食品輸出振興計画は今年で3年目を迎える。 同国はこの計画により、国内農産品の輸出振興のため、海外に承認を行ったタイ料理店を現在の9千 件から2万件に増やすことを目標としている。しかし、現時点では当初予定されたとおりの進捗状況 には至っていない。この主な理由として、中小企業銀行(SMEBank)を通じた融資を計画に関わる 事業者に承認する際に、複数の政府部局による承認を受ける必要から混乱が発生し、手続きに時間が かかったことなどが挙げられている。 また、これに関連して、同国農業相は日本の成田空港の近郊にタイ農産品輸出振興のための展示場 を設置する予定であるとしている。【シンガポール駐在員 木田 秀一郎 平成17年9月22日発】
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