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米通商代表、WTO交渉の2006年末までの合意を強調


 
 ポートマン米通商代表は3月22日、ワシントンDCで開催された米国内の農業関連事業者向けの講演会に
おいて、今次WTO交渉については、期限である2006年末までに最終合意されることが重要であるとともに、
市場アクセスの拡大を可能とするFTAなどの二国間交渉についてもさらなる前進が必要であることを強調
した。

  同代表の演説の概要は以下のとおり。



WTO交渉、本年末までの最終合意が重要

 米国は農業生産に恵まれた環境にあり、国内需要を上回る農業生産があるとともに、海外の人々も米国の
農産物を求めているので、農産物には輸出の機会がある。米国の健全な農業経済のためにわれわれは貿易に
着目していかなければならない。農業が米国の全貿易量に占める割合はわずか9%にすぎないが、農業にと
って貿易は必須であり、農業はわれわれの貿易課題として重要である。2005年の農産物輸出額は、620億ド
ル(7兆3,780億円:1ドル=119円)と過去最高を記録した。

  ジョハンズ米農務長官をはじめとする米国農務省(USDA)と米国通商代表部は一体的に活動を行って
おり、自分はこのような協調とより効果的な交渉相手となるわれわれの能力に勇気付けられている。

  WTOはわれわれと農業にとって、現時点における最優先課題である。既に4年半が経過しており、結論
に導く時期にきている。世界的な経済成長を助長する動議に貿易交渉を導く千載一遇の機会である。

  われわれは少々時間的な危機にひんしてきている。現在の大統領貿易促進権限(TPA:行政府が議会か
ら与えられる通商協定に関する交渉権限)が2007年7月に失効することから、当該期限までに議会での協議
に先立つ90日間の検討期間も考慮し、議会へ当該協定に関する実施法案を提出するためにも、本年中に今次
ラウンドの交渉プロセスを終了する必要がある。もちろん、通商代表としてTPAの延長は要求するが、前
回の取得までには8年を要した経緯があり、当該延長については困難が想定されることからも、本年4月末
の細目合意および本年末までの最終合意は重要なことである。

  ドーハラウンドにおいて農業が中心課題であることは詳細に述べるまでもないことであり、農業はラウン
ドの成功のかなめである。



市場アクセスの拡大が最大の焦点

 米国は農業分野においても先導的な立場を取っている。昨年10月、米国は農業分野において最も野心的な
提案を行った。まず、関税の削減に関しては、農業に関する全世界の平均関税率は62%と、米国の12%、ま
た他分野の関税率と比べても高いものとなっている。われわれは、米国の農業者および牧場主を、市場アク
セスにおいて公平な競争が可能となるよう支援したい。このため、われわれは積極的な提案を行い、ケアン
ズグループなどの支持を得、強力にこれを押している。

  第二には、輸出補助金の撤廃である。輸出補助金は、主にEU諸国によってその約89%が活用されている。
2004年の枠組み合意により、貿易わい曲的な輸出補助金の撤廃が合意され、米国は、撤廃の期限を2010年と
提案した。先の香港閣僚会議では、2013年までの撤廃が合意され、当該分野においては前進がみられる。

  第三には、貿易わい曲的な国内支持の削減である。新たな市場アクセス、輸出補助金の撤廃、貿易わい曲
的国内支持の削減のすべてを約束することにより、より公平な競争機会が得られれば、米国の農業者は少な
い貿易わい曲的支持の下でも生きていけるとの理解である。

  米国は、このように大胆かつ信頼性のある提案を行い、それは、今次交渉に活力を与えたが、交渉相手国
からはいまだ当該提案に呼応する提案は見受けられず、正直なところその活力の一部は、わずかに消えかか
っている。米国は、今次ラウンドの前進に向け、市場アクセス、国内支持、輸出補助金の3つの柱について、
今後も自らの役割を果たしていく。われわれは、農業において新たな貿易の流れを得ることにより成功裏に
導きたいと考えている。2004年の枠組み合意は市場アクセスに実質的な改善が必要であることを名言すると
ともに、国内支持にも触れており、われわれはこのような要求を満たしてきた。関税については加盟国間で
の総意に至っていないが、強力に押していく所存である。



FTA交渉の拡大も重要

  一方、米国はこれまで15の国および地域とFTAを締結した。FTAは、世界中の国々との経済連携を深
めるとともに、市場アクセスの拡大を可能とすることから、WTO交渉と同様に重要なものである。実際、
カナダやメキシコのみならず多くのFTA相手国との貿易は、米国の実質国内総生産(GDP)の15%、ま
た、米国の総輸出額の54%を占めている。

 最近では、昨年12月のペルーとのFTAの合意をはじめ、2006年に入ってからもバーレーン、オマーン、
コロンビアとの合意が相次いで成立したほか、NAFTA以来最大のFTAとなる韓国との交渉が6月から
本格的に開始されることとなっている。さらに、数週間前には、アジアにおいて農業分野での発展の可能性
を秘めた国の一つであるマレーシアとの交渉も開始したところである。

 さらに統合が加速する世界経済の中で、今後とも米国は指導者となる必要があることから、WTOおよび
二国間の両面において、各国との交渉を目指していかなければならない。


【ワシントン駐在員 唐澤 哲也 平成18年3月29日発】




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