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アルゼンチン、輸出業務登録制度を創設


ヒルトン枠を管理するONCCAが制度を所管

 1月30日、アルゼンチン経済生産省の決議第31/2006号(1月27日付け)により、「輸出業務登録制度(RO
E)」の創設が公布されたが、登録のための細則が制定されておらず、牛肉輸出は停止した(本紙第706号にて
既報)。その後の2月2日、細則を定めた農牧水産食糧庁(SAGPyA)および経済政策庁の合同決議(第12
/2006号および第42/2006号)が官報公布され、直ちに有効となった。

 これによると、EU向け高級牛肉枠(ヒルトン枠)の全体管理などを所管する国立農牧取引管理事業団(ON
CCA)が制度を管轄することとなり、先の決議第31/2006号に指定された製品(生鮮牛肉)の輸出業務につい
ては、2通りの登録が設定された。一つがヒルトン枠のように国際協定に基づく輸出で、もう一つがそれ以
外の食肉輸出に関するものである。



登録証明書の有効期間は30日
 
 輸出業者は、輸出案件ごとに申請書を作成する必要があり、企業名、SENASA登録番号、メルコスル
関税番号(CDM)ごとの品名、推定重量、輸出価格(FOBベース)などを記載した上で、「記載内容に虚偽は
ない」旨の宣誓文に署名することが求められる。なお、申請に当たって、輸出業者は、税務当局(AFIP)お
よび農畜産品衛生事業団(SENASA)に登録されていることが前提となる。

 一方、申請先のONCCAは、輸出業者による登録申請から30日以内に登録手続きを完了し、輸出業者が
税関に提示するための輸出業務登録証明書を発行することになっている。もし、申請が「輸出業者の定期的
な業務に適合しない」と判断された場合は、ONCCAは7日以内にその事実と申請却下理由をSAGPy
Aおよび経済政策庁に報告する。なお、登録証明書の有効期限は30日間で、期限満了後は再度手続きが必要
となる。

 SAGPyAのカンポス長官は、国際協定に基づく輸出についての登録はほぼ自動的に処理されるものの、
その他の輸出に関する登録には時間を要する可能性を示唆しており、2月8日現在、証明書が発給されたと
いう情報は得ていない。

 同長官によると、今回の制度設立の目的は食肉に関する統計をシステム化するためとしている。



2005年の輸出量は生産量の25%を占める

 政府は昨年来、インフレ抑制の一連の対策として生活基本食料品に含まれる牛肉の国内価格を引き下げる
ため、さまざまな措置を講じてきた。牛肉の国内供給を確保するためには、輸出に制限を設けることが必要
として、昨年11月には牛肉に係る輸出税を5%から15%に引き上げるという対策を講じている。

 政府の努力とは裏腹に、SAGPyAによると、2005年の生産量(1〜11月)は前年同期比4.1%増の287
万1千トン、輸出量はブラジルでの口蹄疫発生のため、国際市場における需要が増加したことなどにより、
同25.5%増の71万5千トンとなった。生産量のうち輸出量の占める割合は年々増加しており、2004年は21%
であったものが、2005年は25%とこれまでの最高となった。また、輸出価格(FOBベース)も2004年の1ト
ン当たり1,536ドル(18万4,320円:1ドル=120円)から2005年は1,633ドル(19万5,960円)と上昇している。



 なお、アルゼンチン牛肉輸出業者連合(ABC)は2月3日、政府に対し輸出自主規制を提案した。この
提案は、冷蔵および冷凍肉の輸出量を昨年比で20%削減し、その削減相当量として毎月約1万2千トンの牛
肉を国内市場に回し、国内供給量を約5%増大させようというものである。



【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成18年2月8日発】 

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