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鳥インフルエンザ発生の影響に関する調査結果を発表(豪州)


鳥インフルエンザの発生で、豪州のGDPは6.8%低下

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月末、鳥インフルエンザ発生による豪州経済などへの影響に関す
る調査結果を発表した。これによると、豪州で「中規模」程度の鳥インフルエンザが発生した場合、経済に
与える影響として国内総生産(GDP)は6.8%低下し、各州の経済活動も大きな被害を受けると予測してい
る。また、豪州で鳥インフルエンザの発生を防げたとしても、国外で大規模な鳥インフルエンザが発生した
場合、豪州経済への影響は避けられず、GDPは3%低下するとしている。

 ABAREでは、鳥インフルエンザの発生により全国規模での影響が避けられない産業について、観光関
連産業や航空などの輸送関連産業を挙げており、観光関連については産業規模が18.4%低下、輸送関連につ
いても同11.2%の低下としている。また、各州での経済に対する影響については、観光関連産業などが盛ん
なクイーンズランド州で7.1%低下との予測を筆頭に、ビクトリア州やニューサウスウェールズ州など大都市
を抱える州での影響が大きいと分析している。

 現在、豪州では、鳥、ヒトに対する鳥インフルエンザ感染は確認されていない。


豪州での死者数は最大で4万人との予測

 鳥インフルエンザの発生によるヒトへの影響としてABAREでは、豪州国内で鳥インフルエンザがヒト
に感染した場合、死者数は最大で4万人に達するとみている。これは、鳥インフルエンザの感染で、総人口
の0.2%が死亡するとの予測に基づくもの。また、世界規模でのヒトへの感染が広がった場合、豪州の死者
数は10万人に達するとしている。しかし一方で、医療基盤の整備を進めれば、この死亡率は今後、抑制する
ことができるとしている。

 今回の調査結果についてABAREでは、鳥インフルエンザの発生が豪州経済やヒトに与える影響、損失
などを費用として換算した場合、現在、鳥インフルエンザの発生が確認されていない豪州では、防疫対策な
どに多くの費用を投下することが、より経済的であると結論付けている。


◎2005/06年度の牛肉輸出量、前年度比6%減少の89万2千トン

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は7月7日、豪州農漁林業省の統計に基づく2005/06年度(7〜6
月)の牛肉輸出量(船積重量ベース)を発表した。これによると輸出量は89万2千トンと前年度に比べて6
%減少した。減少の要因としてMLAは、豪州国内での牛肉供給量の減少と輸出需要の後退によるものとし
ている。

 輸出量を仕向け先別にみると、日本向けが38万8千トンと前年度比7%の減少、また、米国向けは29万6
千トンと同19%減少した。一方、韓国向けは12万1千トンと前年度比33%増となり過去最高を記録した。前
年度に次ぐ輸出量を記録した日本向けについては、日本国内の牛肉需要のだぶつきや、米国産牛肉の輸入再
開をめぐる混乱などが豪州産牛肉の輸出に影響を与えたとみている。また、1998/99年度以来の低い輸出水
準となった米国向けについては、豪州での米国向け輸出の主流となる乳牛のと畜頭数が減少したことに加え、
米国内で乳牛の供給量が増加したことが影響したとしている。



【シドニー駐在員 横田 徹 平成18年7月13日発】



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