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チリ、2005年の食肉需給動向と2006年の見通しを公表


食肉生産量、6年連続の増加

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)は8月、2005年の食肉需給動向と2006年の見通しを公表した。
これによると、チリでは2000年以降連続して食肉生産量が増加しており、2005年は前年比5.2%増の120万ト
ン(枝肉ベース)となった。このうち豚肉の増加率が10.1%と最も大きく、次いで牛肉が3.5%増、鶏肉が2.8
%増となり、羊肉のみが3.3%の減少となった。また、輸出額は前年比32.8%増、輸入額は同33.9%増とな
り、2004年に続き、食肉の貿易収支は1億7,144万ドル(200億5,848万円:1ドル=117円)の黒字となった。
1人当たりの年間食肉消費量は前年比2.8%増の75.5キログラムであった。牛肉、豚肉、家きん肉の概要は
次の通りである。
 

大幅に増加した2005年の牛肉輸出量
 
  2005年の牛肉生産量は、前年比3.5%増の21万5,580トン(枝肉ベース)となった。この要因としては、ここ
数年、酪農家が搾乳牛飼養頭数を増やしていることや牛肉輸出価格上昇が見込まれたことが挙げられている。
なお、2006年上半期については、と畜頭数は引き続き増加しているものの、前年に比べその増加率は鈍化し
ている。これは、価格の上昇を期待した生産者が肉牛を保留しているためとみられる。2006年後半の生産量
も数年来の雌牛の保留により増加傾向は継続すると見込まれている。

 2005年の輸入量は前年比12.1%増の14万1,554トン(製品重量ベース)、輸入額は同33.8%増の3億4,500万
ドル(403億6,500万円)となり、総輸入額に占める国別割合はブラジル45.2%、次いでアルゼンチン38.9%、
パラグアイ13.8%、ウルグアイ2.1%とメルコスルで占められている。一方、2006年上半期の輸入量、輸入
額はそれぞれ前年同期比37.2%減、1.0%減となった。これは口蹄疫の発生により安価な供給先であったア
ルゼンチン、ブラジルからの輸入を停止ししたことによる。なお、アルゼンチンからの輸入はチリ農牧庁に
よる調査を終え、9月から再開されると伝えられている。

 また、2005年の輸出量(製品重量ベース)は前年比107.8%増の1万8,749トン、輸出額は同137.0%増の5,440
万ドル(63億6,480万円)と大幅に増加した。しかし、2005年10月以降は減少傾向にあり、これは、@ドル相
場の下落、Aブラジルの牛肉輸出停止による国内市場価格の上昇−が要因とされている。


2005年の豚肉生産量は過去最高を記録

 2005年の豚肉生産量は、前年比10.1%増の41万1千トン(枝肉ベース)と過去最高を記録した。2006年上半
期についても前年同期比14.4%増となっている。2005年の輸出量(製品重量ベース)は同24.2%増の9万7,908
トン、輸出額は同25.9%増の2億9,500万ドル(345億1,500万円)となった。主要相手国を見ると、首位は総
輸出額の63%を占めた日本、次いで韓国が同23%、EUが同5%、アルゼンチンが同2%などとなっている。
2006年上半期については、前年同期比5.5%減となった。輸出の不調は、総輸出量の8割を占めている日本、
韓国、メキシコの減少によるもので、この減少分を埋めるためにEU、カナダ、ルーマニア、ウルグアイな
どへの輸出が徐々に増加している。

  2006年の生産量は少なくとも前年比12%増と見込んでいる。


2005年の鶏肉輸出量も大幅増
 
  2005年の家きん肉生産量は前年比2.8%増の55万トン(骨付きベース)となった。さらに業界では、国内市
場の安定と輸出市場の増加を期待している。このうち、ブロイラーが全体の8割を占める45万7千トン、七
面鳥が8万7千トンとなった。

 家きん肉はチリ国内で最も消費される食肉であり2005年の1人年間当たり消費量は30.3キログラムとなっ
たが、前年に比べ1.0%の減少となった。輸出量は世界各地における鳥インフルエンザの影響により前年比
35.4%増の6万9,801トン、輸出額は同42.4%増の1億3,300万ドル(155億6,100万円)となった。主な輸出先
は全体の44%を占めるメキシコが30,741トン、EUが12,470トン、日本が6,060トンなどとなっている。

  ODEPAでは、好調な輸出需要を受け、2006年の生産量を前年比10%増と見込んでいる。




【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成18年9月6日発】 


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