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NZ乳業、長期的な国際乳製品需要の増加を予測


今後10年間の国際的な乳製品需要は、毎年2.7%増加の見込み

 ニュージーランド(NZ)最大手乳業会社であるフォンテラは4月2日、国際乳製品市場における長期的
な需給見込みを公表した。これによると、今後の国際乳製品市場は、強い需要を背景として需要量の増加が
生産量の増加を上回って推移することから、NZ乳業にとっては楽観的な状況が見込まれている。世界の乳
製品の需要量は、この10年間で年2.0%増加したのに対し、今後10年間は年2.7%ずつ増加する。一方、供給
量は、今後10年間で年2.0%増加となり、需要量の増加に供給量の増加が追いつかない状況となるとしてい
る。

 今後の乳製品需要の増加が見込まれるのは、中国が最も大きく世界全体の増加量の約30%を占める。ただ
し、中国における乳製品需要の増加は、牛乳・乳製品消費に対する政府支援、高所得層の増加および都市化
に伴う食生活の変化などの状況により変動する。このほか、インド、ブラジル、米国や中東、北アフリカと
いった原油輸出国において乳製品需要が増加し、特に米国およびインドでは、人口の増加や経済の進展によ
りこの傾向が強いとしている。ただし、これら需要の増加が見込まれる地域では、これに応じて牛乳・乳製
品の国内生産が相当量増加することから、今後の世界の乳製品貿易数量は年1.2%程度の増加にとどまると
みている。

 また、乳製品輸出国については、今後、EUからの輸出量は減少し、NZと豪州が乳製品の二大輸出国と
なる。ただし、今後、NZが乳製品主要輸出国としての地位を維持するためには、十分な供給数量の確保お
よび低コスト生産の維持が重要である。NZにおける生乳生産コストは土地価格の高騰に伴い上昇しており、
生産コスト面での有利性を維持できない場合には、今後、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナおよびロシ
アといった低コスト生産国との競合が予想される。


来年度の生産者支払乳価は引き上げの意向

 また、同社代表は4月、生産者との会合で、NZドル為替相場が今後大きく変動しないことを前提条件と
して、来年度(2007/08年度)の生産者支払乳価(乳固形分ベース)を1キログラム当たり5NZドル(430
円:1NZドル=86円)近くまで引き上げる意向を示した。これは、長期的に乳製品需要の増加が見込まれ
ていることに加え、国際乳製品価格が記録的な高水準にあるためである。

 NZにおける生産者支払乳価は、乳固形分1キログラム当たり2005/06年度が4.10NZドル(353円)、今
年度(2006/07年度)は当初4.05NZドル(348円)としていたが、今年2月、乳製品輸出が好調であること
を理由に1キログラム当たり10NZセント(9円)引き上げ、4.15NZドル(357円)とすることを決定した。


◎MLA、牛肉輸出について米韓FTAの影響を懸念(豪州)

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は4月3日、4月2日の米韓自由貿易協定(FTA)締結交渉妥結
を受けて、豪州牛肉産業に及ぼす影響などに関する見解を示した。次の3つを要点として挙げている。

@米国は、牛肉輸入関税(現行40%)が15年間かけて段階的に撤廃されることにより、豪州産牛肉輸出に損
  失を及ぼす可能性がある。

Aこういった事態を回避するため、豪州・韓国間でより緊密な経済関係の構築が重要。豪州牛肉業界として
  は、現在進行中の、両国FTAに向けた共同研究の促進を政府に働きかける。

BMLAは、米国産牛肉の韓国向け輸出に備え、韓国において、豪州産牛肉の安全でクリーンなイメージを
  強調した市場キャンペーンを強化していく。

  豪州にとって韓国は3番目に大きな牛肉輸出市場であり、2006年には15万トンの牛肉を輸出している。米
国産牛肉は、かつて、韓国における牛肉輸入の過半を占めていたが、2003年12月の米国におけるBSE発生
以降、豪州産牛肉がとって代わり、現在では韓国が輸入する牛肉の約80%を占めている。




【シドニー駐在員 井田 俊二 平成19年4月12日発】


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