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2007/08年度冬穀物生産、過去5年間平均を39%下回る見込み(豪州)


冬穀物生産は前年度を上回るものの、過去5年間の平均を39%下回る低水準

  豪州農業資源経済局(ABARE)は12月4日、2007/08年度冬穀物および夏穀物の生産予測を公表した。これに
よると、冬穀物生産量は2,166万トンで、厳しい干ばつであった2006/07年度を37.9%上回るものの、過去5年
間(2001/02〜2005/06年度)の平均である3,520万トンを38.5%下回る低水準となった。今回の公表された生産
予測は、前回公表値(2007年10月30日公表)よりわずかに増加している。

  2007/08年度冬穀物の作付け(5〜7月)は、西オーストラリア(WA)州南部、南オーストラリア(SA)
州、ビクトリア(VIC)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州およびクイーンズランド(QLD)州中
部といった主要生産地において絶好の気象条件に恵まれたため、作付面積が前年度比9.7%増となった。このた
め、2007/08年度における当初の生産予測は、3,701万トンと過去5年間の平均を上回る生産が見込まれていた。
しかしながら、その後、WA州北部、SA州、NSW州およびVIC州といった主要生産地域で降水量が少な
く乾燥気候となったことから、生産量は低水準にとどまった。特に、NSW州での影響が大きく、同州の生産
量は唯一、不作となった前年度の生産量を下回っている。
 
  現在、2007/08年度の冬穀物生産は、QLD州およびNSW州でほぼ収穫が終了、タスマニア州ではまだ収穫
が始まっておらず、その他の州では収穫中である。





ソルガムは大幅な増産、コメおよび綿花は記録的な減産を予測

  2007/08年度の夏穀物作付面積は、主要な生産地であるQLD州南部およびNSW州北部において10〜11月に
平均以上の降雨に恵まれたことから、前年度比36.9%増の104万2千ヘクタールを予測している。また、生産量
は、前年度比42.3%増の269万トンを予測している。

  主要作物であるソルガムについては、前年度を大幅に上回る79万5千ヘクタール(同74.0%増)で作付けさ
れる。生産量も、同110.4%増の200万3千トンと大幅に増加することが見込まれている。この背景としては、
作付け時の条件が良好であることに加え、ソルガムの市場取引価格が高水準にあるため生産意欲が強く、休耕
地などを利用して広く作付けが行われるとみられるためである。

  一方、かんがい地域で生産されるコメおよび綿花については、水利用権の割当率が小さく作付けに必要なか
んがい用水を確保できないことから、作付面積および生産量とも大幅な減少が予測されている。コメについて
は、作付面積が前年度比80.0%減の2千ヘクタールで、1920年代初頭に米作が始まって以来最低となる。生産
量は同91.0%減の1万5千トンとなり、2005/06年度生産量(97万3千トン)の1.5%の水準まで減少する。ま
た、綿花については、作付面積が同61.1%減の5万6千ヘクタールで、過去30年間で最低の水準となる。これ
に対応して、生産量は同62.4%減の14万6千トンを予測している。



【シドニー駐在員  井田 俊二 平成19年12月6日発】



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