ALIC/WEEKLY
2006年農業部門の成長率は3.9% フィリピン農務省農業経済局(BAS)は1月15日、2006年の農業生産状況を公表した。2006年の農業部門 全体における生産額(85年指標価格)は、前年同期比3.9%増の約3,042億ペソ(約6,084億円:1ペソ=2円) となり、同国政府が目標としていた成長率4%台にはわずかに届かなかったが、2005年の前年成長率2.3%を上 回った。 同国では、上半期において好天に恵まれたことなどにより、第3四半期までの実績が農業部門全体で前年同 期比4.9%増と好調であったものの、通年の成長率が3.9%となったのは、昨年9月以降、5回にわたり大型台 風の直撃を受けた影響が大きいとしている。 部門別に見ると、生産額の約47%を占める作物部門は同4.4%増、約25%を占める水産部門は同6.3%増、約 13%を占める畜産部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、乳製品)が同2.6%増となり、第3四半期までの状況と 同様に家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)を除き前年を上回った。家きん部門は、2006年6月末 時点の生産額が同2.6%減となっていたが、下半期に鶏肉生産量が回復したことにより、通年の生産額は同0.4 %減とほぼ前年並みとなった。 豚肉生産量は前年比3.9%増 畜産部門の生産量は、豚肉の生産量が同3.9%増の約184万トンとなったほか、乳製品も同4.3%増の約1万3 千トンとなった。豚肉生産量は、過去10年間増加傾向で推移しており、10年前と比較すると生産量は約25%増 加している。一方、牛肉と水牛肉の生産量は、ともに前年を下回った。牛肉生産量については2000年をピーク に減少傾向が続いている。 家きん部門の生産量は、鶏卵の生産量が同3.1%増の33万トンとなったほかは前年同期を下回った。鶏肉につ いては、主産地であるルソン島が大型台風により大きな被害を受けたものの、通年では同0.8%減の約120万6 千トンとほぼ前年並みの生産量となった。 また、作物部門では、主要作物である米(もみ米)の生産量が同5.0%増の約1,532万7千トン、トウモロコ シの生産量が同15.8%増の約608万2千トンとなり、天候不良により生産量が伸びなかった前年に比べ堅調な伸 びを示している。米(もみ米)については、品種と施肥方法の改良などの効果もあり第3四半期までの実績が 同9.7%増で推移していたことから、9月以降の台風による被害をある程度は相殺できたとしている。そのほか の作物では、サトウキビの生産量が同6.2%増の約、2,434万5千トン、バナナが同8.0%増の約680万1千トン となっている。 ◎日本産家きんなどの輸入を再度停止 日本政府が1月13日に、国際獣疫事務局(OIE)へ宮崎県などで高病原性鳥インフルエンザ(AI)の発 生状況を報告したことを受けて、フィリピン政府は1月16日付け農務長官通達(No.02)で日本産の家きん、野 鳥およびそれらの製品、初生ひな、卵および精液について、輸入の一時停止措置を実施することを発表した。 併せて、日本からの旅行者が家きんや家きん製品のほかペットの鳥類などをフィリピン国内へ持ち込む可能性 を示唆し注意を促している。 同国では、日本国内で2005年6月にAIの発生が確認されたことから、同年9月から日本産家きんなどの一 時輸入停止措置を実施していたが、日本政府が実施したAI対策などを確認の上、昨年9月12日付けで一時輸 入停止措置を解除していた。 【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年2月15日発】
元のページに戻る