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一人当たりの年間消費量は101リットル、3年連続して増加 デイリー・オーストラリア(DA)が昨年末に発表した資料によると、2005/06年度(7〜6月)の豪州 の牛乳消費量は、前年度比2%増の2,065千キロリットルを記録した。また、国民一人当たりの年間牛乳消 費量も、前年度比0.8%増の101リットルとなった。これは、一人当たり毎日280ml の牛乳を飲んでいること になる。 豪州国内の牛乳消費量は、移民の拡大などによる人口の増加に伴い、おおむね右肩上がりで上昇を続けて おり、前年度には、初めて2,000千キロリットル台に到達した。 一方、一人当たりの年間牛乳消費量は、多くの先進国と同様、清涼飲料水の台頭などにより、90年代半ば を境に減少に転じていたが、さまざまな要因が功を奏し、2003/04年度以降、増加に転じている。 外食産業での需要拡大などが牛乳消費をけん引 一人当たりの牛乳消費の増加をけん引したものとして、@カフェと呼ばれるコーヒーショップを中心とし た外食産業での需要拡大、A紙パック容器からプラスチック容器への転換による利便性の向上、A脂肪分の 敬遠などし好の変化を反映した乳業メーカー各社による低脂肪牛乳や無脂肪牛乳などの市場投入、さらにこ れらに機能性を持たせた各種製品の開発、Bチョコレート味やイチゴ味などを加味した乳飲料製品市場の強 化、B教育現場や家庭内での消費促進のための対策−などが挙げられる。 カフェを中心とする外食産業が年間に消費する牛乳の量は、国内の牛乳消費量全体の半分となる約1,000 千キロリットルと推測されており、フラットホワイトやカフェラテなど、いわゆる牛乳を多量に用いたコー ヒーとして販売・消費されている。また、チョコレート味などを加味した乳飲料製品については、価格競争 が厳しい牛乳市場において、ほかの商品に比べて利益率が高いことから乳業メーカー各社が力を入れ始めた 分野でもあり、牛乳消費の増加に一役を買っている。 今後の消費量は1%程度の増加を期待 今後の牛乳消費の動向についてDAは、いわゆるフルクリームと呼ばれる普通牛乳については、消費の伸 びは期待できないとしながらも、現時点の消費量を下回ることもないとみている。このため、今後の消費に ついては、普通牛乳以外の商品の伸びが期待できることから、年率1%程度で増加するとしている。特に牛 乳消費の増加のカギを握るものとして、乳飲料製品市場の拡大や消費促進のための継続した対策を挙げてい る。 また、牛乳の消費について批判的な意見が数多くある中で、DAは、全国の医療現場と密接に連携し、牛 乳がもたらす効果について医師から直接、消費者に伝えることが、この牛乳消費に対する誤解を生じさせな い大切な役割を担っているとしている。 ◎干ばつ下の酪農家、適正な配分を求めて生乳の廃棄を検討(豪州) 豪州の生乳生産量の12%を生産するニューサウスウェールズ(NSW)州では、長引く干ばつにより酪農 家の生産コストが上昇していることから、牛乳の小売価格からの適正な配分を求めて、生乳の廃棄を検討す る動きがでている。豪州の酪農家で組織する豪州生乳生産者協会(AMPA)によると、NSW州の酪農家 の3分の2がこの動きに賛同を示しており、一部、隣のクイーンズランド州の酪農家の間にも広がっている としている。放牧酪農が中心の豪州でも、シドニーなどの大都市を抱えるこの地域では、生乳生産量の大部 分は飲用中心に向けられていることから、年間を通じて一定の生乳生産量の確保が求められおり、牧草が育 たない秋口以降は、酪農家の飼料コストがさらに上昇している。この動きに対し、大手流通チェーンの一部 からは、酪農家に対する干ばつのための資金援助を打ち出すなど、牛乳製品の供給確保に向けた動きを見せ ているが、すでに乳価の引き上げを行っている乳業メーカー各社の反応は芳しくない状態が続いている。 【シドニー駐在員 横田 徹 平成19年1月24日発】
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