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2007年の主要家畜飼養頭羽数は増加の見込み(フィリピン)


 
2007年の豚、ブロイラー飼養頭羽数は増加すると予測

  フィリピン農務省(DA)は6月8日、2007年の豚やブロイラーなどの飼養頭羽数見込みを公表した。これ
によると、同国の主要家畜である豚は前年より約40万頭(3.2%)、ブロイラーは同約220万羽(6.1%)の増
加が見込まれるとしている。

  畜種別にみると、豚の飼養頭数の増加は、日本やアジア諸国などに対する好調な輸出が反映されたものとな
っている。近年、豚肉調製品の輸出が増加しており、2006年における調製品輸出数量は同3.7%増の約1万8
千トンであった。同国は輸出市場の拡大も図っており、現在はシンガポールとの間で輸出条件について交渉中
で、すでにシンガポール食品獣医庁(AVA)による調整なども終了している(海外駐在員情報通巻第774号
参照)。

  ブロイラーについては、近隣諸国における鳥インフルエンザ(AI)発生の影響もあり、国内需要の減退に
よる生産縮小も実施していたが、2006年の消費量(1人1年当たり)は同2.8%増の7.78キログラム(速報値)
と回復していた。


乳用牛は前年比7%増の見込み

  水牛と肉用牛の飼養頭数についてはほぼ前年並みとなることが見込まれており、ここ数年は横ばい傾向が続
いている。一方、乳用牛の飼養頭数は少ないものの増加傾向で推移しており、2007年の飼養頭数は前年比7.1%
増とかなりの程度の増加が見込まれている。同国では、全国酪農公社(National Dairy Authority)を中心に
国内酪農の振興を図っており、近年ではニュージーランド(NZ)から乳用牛の生体輸入を実施している。昨
年は同国から615頭のホルスタイン交雑種を導入しており、今年も488頭を導入する予定で、予算額は約4千4
百万ペソ(約1億1,400万円:1ペソ=2.6円)を計上している。また、来年も引き続きNZからホルスタイン
交雑種を500頭導入する計画としている。



ヤギは最大の増加率となる見込み

  ヤギの飼養頭数は増加傾向で推移しているが、2007年は前年比8.1%増と主要家畜では最大の増加率となると
見込まれている。2006年におけるヤギ肉の消費量は約0.4キログラム程度と低いものの、農家の補助的収入源と
して重要視されている。ヤギの飼養形態は、一部には商業的な多頭飼養形態も見られるものの、9割以上が農
家の庭先飼養となっている。同国政府は貧困農家の所得対策としてヤギの生産性の向上と枝肉重量の増加など
を主眼としたプロジェクトを実施しており、同国科学技術アカデミー(NAST)は、2020年までにヤギを約
660万頭まで増頭するよう政府に勧告している。NASTは、改良種と適切な飼養管理などの導入により、2020
年には枝肉重量を現在の15キログラムから18 キログラムまで増やすことが可能と試算している。

 
         
                       

【シンガポール駐在員 林 義隆 平成19年7月26日発】



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