ALIC/WEEKLY


袋サイロによる穀物保管が普及(アルゼンチン その2)


袋サイロは1年間以上の保管が可能

  アルゼンチンの穀物の生産量は増加傾向にあるが、その収穫物の保管に、これまでのカントリーエレベーター
に代わり、ポリエチレン製の袋サイロが用いられるようになっている(海外駐在員情報第792号参照)。

  直径3メートル、長さ60メートルの袋サイロ(トウモロコシで約200トン保管)の場合、穀物の袋詰め作業が
順調に行われた場合、1時間以内で袋が一杯になる。ただし、袋サイロを利用すると約5千トンを保管するため
には、1ヘクタールの土地が必要となる。

 水分含有率14%以下の穀物を袋サイロで保管すれば、1年間以上の保管が可能である。






  図1のように、袋サイロに入れてから52日で袋サイロ内の酸素のほとんどが二酸化炭素に置き換わり、また図
2のように、外気温(紺色)に対し、袋上部の穀物(水色)は、外気温に沿った動きをしているが、袋中央部
(黄色)、袋下部(赤色)は、なだらかな温度変化となっている。このような特性のため、ほ場での長期の保管
が可能となっている。

 袋サイロで保管する場合には、穴が開いていないことを定期的に確認する必要がある。わが国のように野鳥が
穴を開けることはないが、ネズミが袋の端を噛んで水が袋の中に入ってしまう被害があるため、袋サイロの周り
にすみかとなる草などを生やさない、殺鼠剤をまく、袋の端は登り坂にするなどの対策が必要である。

 袋サイロ(直径3メートル、長さ60メートル)1袋の販売価格は330米ドル(36960円:1ドル=112円)であ
る。使用済みの袋サイロは、袋サイロ販売業者と契約している回収業者によって、家庭用のゴミ袋などにリサイ
クルされている。回収業者は、これまでは無料で回収していたが、原料価格の高騰から次回購入の割引券と交換
などしている。

  一方でこのような、回収システムの確立していない地域では、簡易施設の屋根などに再利用されている。



袋サイロによる穀物保管は今後も拡大

  イペサ社はアルゼンチン国内で袋サイロを製造しており、国内のほか豪州、カナダ、南アフリカ、ウクライナ、
カザフスタンなどにも輸出している。

  同社は袋サイロの今後の見通しについて、「袋サイロによる穀物保管は今後も拡大するであろう。水分調整を
カントリーエレベーターで行い、その周りに袋サイロが置かれるような例がますます増えてくるのではないか」
と話している。




 【ブエノスアイレス駐在員 松本 隆志 平成19年11月19日発】


元のページに戻る