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飼料コスト上昇などを踏まえ、的確な経営判断を求める デイリー・オーストラリア(DA)は、酪農家に対して早い段階での計画的かつ的確な経営判断を呼びかけて いる。酪農家にとって経営上大きな比率を占める飼料生産については、今年9月までの降水状況次第で経営上大 きな影響を及ぼすとされていた。しかしながら、期待された降水に恵まれなかったため、豪州南東部、特にかん がい用水に依存する穀物生産地域での水不足が深刻な状況となっている。このため、酪農家では、現在、今期の 搾乳牛飼養頭数ついて、現状維持とするか、またはとう汰により削減するかなどについて重大な経営判断を迫ら れている状況にある。 豪州の酪農経営を取り巻く状況は、2007年8月から9月にかけての降水不足の結果、飼料穀物作物生産予測数 量が大幅に下方修正されるなど、今後、酪農家における飼料不足が懸念されている。このため、今後、飼料穀物 および乾草価格の上昇、これに伴う生乳生産コストの上昇が見込まれている。なお、今後、購入飼料への依存度 を高める酪農家では新たな資金調達が必要となるが、前年度の干ばつによる経営収支の悪化により、多くの酪農 家ではすでに負債を抱えている状況である。一方、2007/08年度の生乳販売価格は、乳製品国際需給のひっ迫な どを反映して、前年度を約3割上回る高水準の状況となっており、このことが酪農家にとって生乳の増産意欲に つながっている。 酪農家はこういった状況を踏まえ今年度の経営判断を行うこととなるが、DAでは、経営判断を行うに当たり、 生乳販売収入、飼料費などの生産コストおよび資金調達計画などを踏まえた上で、収支バランスの取れた判断を 行うべきであるとしている。なお、DAでは、酪農家が的確な経営判断を行うため、毎週、飼料穀物および乾草 の価格や販売状況をはじめとする情報提供などの支援を行っている。 2007/08年度生乳生産は、予測数量を下回るペースで推移 主要酪農地域での降水不足が問題化する中、2007/08年度の生乳生産量は前年度をかなり下回るペースとなっ ている。 DAによると、2007/08年度生乳生産量は、7月が前年同期比9.1%減の59万4千キロリットルと前年度を大き く下回った。特に豪州生乳生産量全体の約3分の2を占めるビクトリア(VIC)州では、同9.7%減の38万1 千キロリットルと落ち込んでいる。また、報道によると、8月の生乳生産量も同9.1%減の74万2千キロリット ルと、7月同様に前年実績を下回っている。特にVIC州北部かんがい地域における減少が大きいとされる。 豪州農業資源経済局(ABARE)が9月24日に公表した最新の2007/08年度における生乳生産予測数量は、 同3.7%減の922万5千キロリットルとなっている。 ◎ 大手食肉処理業者の大型合併案、合意に至らず(NZ) NZ食肉処理最大手組合組織であるPPCSは9月17日、同第3位のアライアンス・グループとの合併案が合 意に至らなかったことを公表した。NZ食肉業界は、豪州での干ばつなどに伴う羊肉価格の低迷、NZ羊肉主産 地における干ばつによる生産コスト上昇に加え、主要通貨に対するNZドル高などの影響を受けて収益性が悪化 していた。このため、両組合では6月28日、将来的な事業改善や組合員である生産者への利益還元改善に向けた 共同調査を開始していた(「海外駐在員情報」第777号参照)。 【シドニー駐在員 井田 俊二 平成19年10月4日発】
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