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米韓FTAの影響で豪州の韓国向け農産物および食品輸出額は減少 豪州の全国農業者連盟(NFF)は9月4日、今後の韓国への農産物および食品の輸出に関する調査結果を 公表した。これによると、豪州から韓国への農畜産物輸出は、米国および韓国の自由貿易協定(米韓FTA) が批准された場合、特に牛肉、乳製品、ワインおよび園芸作物といった製品で大きな影響を受ける。また、豪 韓FTAが批准された場合、米韓FTA批准の有無にかかわらず、韓国向け農産物および食品の輸出に及ぼす 効果は大きいことから、早急に豪韓FTAを実施する必要があると結論づけている。 こうしたことから、NFFでは、連邦政府に対して、早急に韓国とのFTA交渉を行うよう要請している。 豪韓FTAは、今後の韓国向け農産物および食品輸出に大きく貢献 この調査結果の概要は次のとおりである。 まず、米韓FTAのみが批准された場合、豪州への影響は大きく、2030年の豪州から韓国への農産物および 食品輸出額は、2006年と比較して12%(1億6,200万豪ドル(153億9千万円:1豪ドル=95円))減少する。 2007〜30年の24年間の減少額の累計は、8億豪ドル(760億円)に達する。 次に、豪韓FTAのみが批准された場合、豪州から韓国への輸出額は、同80%(10億4,500万豪ドル(992億 7,500万円)増加する。 また、米韓および豪韓FTAが批准された場合、豪州から韓国への輸出額は、同53.3%(6億9,600万豪ドル (661億2,000万円)増加し、米韓FTAによる輸出額の減少を上回る効果が期待できる。こうしたことから、 豪韓FTAは、米韓FTA批准のいかんにかかわらず、韓国向け農産物および食品輸出に大きな効果をもたら すとしている。 豪州の農産物および食品の輸出仕向け国として韓国は、牛肉で第3位、乳製品で第10位となっている。また、 豪韓FTAについては2006年12月、FTA交渉の前提となる共同研究が開始されている。 ◎冬穀物生産地域の一部で今後の水不足を懸念 豪州連邦政府のマクゴラン農相は9月、今後3〜4週間に農産物生産地域において相当量の降水がない場合、 豪州農業は、かつてないほどの危機的な状況になるかもしれないと述べた。特に、ニューサウスウェールズ州 中西部、西オーストラリア州北部の小麦地帯およびマレー・ダーリング集水域南部といった主要な農産物生産 地域において、水不足が著しい状況となっている。また、こういった穀物生産地域の一部農家では、穀物とし て収穫する前にサイレージや乾草用として刈り取りを行っていると報道されている。 2007/08年度における豪州の冬穀物は、秋から初冬にかけて広い地域で十分な降水に恵まれたことから、絶好 の作付け環境となった。このため、豪州農業資源経済局が2007年6月19日に公表した2007/08年度冬穀物生産予 測では、前年度の2.4倍に当たる3,701万トンの生産が見込まれている。しかし、今後数週間の降水次第で、こ の生産予測が大幅に下方修正されるかもしれないと見られている。 【シドニー駐在員 井田 俊二 平成19年9月13日発】
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