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混乱が続く穀物輸出税の見直し(アルゼンチン)

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国会審議が続く

 6月23日から、下院において穀物輸出税の見直しに関する審議が行われている。

 与党側の主張は、(1)穀物輸出税の見直しに関する経済生産省決議125/2008号で定められた税率は変更しないこと、(2)小規模経営に対し輸出税の一部を還付すること、(3)農業信託組織(農業ファンド)に対し課税を強化すること−などである。一方、野党側の主張は、(1)同決議の廃止すること、(2)農畜産業の振興策を議論すること−である。

 生産者団体は野党議員を中心に現状説明のための訪問活動を続けているが、地元から強い要請を受けた与党議員の中には、与党案に反対する議員もおり、与党側、野党側ともに多数派工作を続けていると伝えられている。また、生産者団体は与党案を「根本問題を解決しない表面上の手直しにすぎず、役に立たない」と批評している。

国会議決後も混乱は続く見込み

 生産者団体は、6月23日にフェルナンデス大統領と面会を行ったが、穀物輸出税の見直しに関して同大統領は「すべてを国会に委ねている」と述べ、具体的な話し合いはなかったと伝えられている。

 このような中で、
(1) 経済生産省決議125/2008号は、労働者の権利に対する侵害であるとして、司法に訴える生産者がみられたが、「行政により立法府に上程されている中、本件審理の時点において、国会に本件の解決を委ねることが適切である」と訴えは退けられた。しかしながら、与党案が国会で議決された場合、生産者団体は司法に訴えるであろうとみられている。
(2) スト活動の中止により農畜産物の流通が6月23日から再開され、直後には食肉処理施設や輸出用エレベーターに向かうトラックが交通渋滞を引き起こした。しかしながら、これらの商品については、輸出業者は3月13日からのスト以前に契約が行われていた契約未履行分であると主張しており、一方、政府は脱税を防ぐため監視を強化している。
など混乱は今後も続くと見込まれる。
【松本 隆志 平成20年7月4日発】
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