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2011年のバイオディーゼル年間生産能力は400万トンに達する見込み(アルゼンチン)

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 アルゼンチン再生可能燃料協会(CADER)は2008年10月に、アルゼンチンバイオディーゼル産業の概観を発表した。ポイントは、

(1) アルゼンチンの2008年のバイオディーゼル生産量は120万トンとなり、世界生産量の12%を担うこと
(2) これまでバイオディーゼル工場は、輸出港のあるパラナ川沿い(図表3、4の丸囲みの地域)に集中していたが、今後は大豆生産地のパンパ地帯に広く立地し、2011年の年間生産能力は400万トンに達すること
である。

バイオディーゼル工場の建設が進む

 2007年から2008年にかけて年間生産能力10万トン以上の6つの大型工場が建設されたことなどから、2008年の生産量は120万トンに達し、世界第3位の生産量になると見込まれている。
(図表1)バイオディーゼルの国別生産量
 また2009年以降もバイオディーゼル工場の建設が計画されており、2011年のバイオディーゼル年間生産能力は400万トンに達するとみられている。輸出港の近く(図表3、4の丸囲みの地域)で大型工場の建設される一方で、大豆生産地のパンパ地帯でも年間生産能力が2万から4万トンの中型工場の建設される計画となっている。
(図表2)バイオディーゼル工場の生産能力
(図表3)2008年バイオディーゼル工場の立地
(図表4)2010年バイオディーゼル工場の立地(見込み)

生産されたバイオディーゼルの多くは輸出向け

 現在アルゼンチン国内ではバイオ燃料は利用されていないが、バイオ燃料利用促進に関する法律に基づき、2010年からB5(軽油への5%のバイオディーゼルの混合)とE5(ガソリンへの5%のバイオエタノールの混合)の混合の義務化を予定している。2010年のアルゼンチンの軽油の国内需要量は1,250万トンと見込まれていることから、バイオディーゼルの国内需要量は62.5万トンと見込まれる。2010年の年間生産能力370万トンに対して17%に過ぎないことから、多くは輸出向けになると見込まれる。

計画の実現はパンパ地帯での放牧地減少に拍車か

 バイオディーゼル工場は植物性油工場に併設して建設されていることから、原料には油糧種子(多くは大豆、そのほかにヒマワリ、菜種など)が用いられている。2011年の年間生産能力395万トンに必要な農地面積を大豆で試算すると712万ヘクタールとなる。

(参考)
 大豆の作付面積712万ha=395万トン÷18.5%(大豆の含油割合)÷3.0トン/ha(単収)


 次にバイオディーゼル工場の立地が集中するブノスアイレス州、サンタフェ州、コルドバ州の3州の農地の利用状況をみる。2002年農林業センサスによると3州の合計の農業用地面積は2,632万ヘクタールであり、アルゼンチン全体3,806万ヘクタールの約7割を占めている。この3州は古くからアルゼンチン農業の中心地域として栄えてきたため、農地開発の余地は非常に少ないと考えられる。そこで、3州における農業用地面積は変化していないと仮定して、作付割合の様子を図表5に示した。

 中でも大豆の作付拡大が顕著であり、2006年の3州の大豆は種面積は1,201万ヘクタールに達している。計画が実現すれば、3州を中心としたパンパ地帯での放牧地の更なる減少圧力になるものとみられる。
(図表5)3州の農地利用状況
【松本 隆志 平成20年10月21日発】
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