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2008年4月から生乳クオータ2%拡大を正式決定(EU)

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 EUの農相理事会は3月17日、本年4月から生乳クオータを2%拡大する欧州委員会の提案に合意し、2008/09年度(2008年4月1日〜2009年3月31日)の生乳クオータの拡大が正式に決定した。

 これにより、新たに284万トン分のクオータが追加される。欧州委員会の分析では、今後2014年までの間に、チーズ消費を中心に生乳需要が800万トン増加すると見込んでおり、世界的に好調な乳製品需要と併せて、2%の生乳生産拡大は十分消費できると見ている。

 なお、今回の提案は、現在議論されている「ヘルスチェック」における、生乳クオータの2015年廃止に向けた枠拡大提案の議論の行方を予断するものではないことを強調している。

27カ国中3カ国が提案に反対または棄権

 今回の提案の採決に当たって、EUにおける生乳生産量第1位のドイツは、生乳価格は2007年夏をピークにその後大きく低下しているとした上で、今後の生乳生産増が、生乳などの価格の下落を引き起こすとして反対した。また、オーストリアは、生乳生産増加が山岳地域などの条件不利地域の酪農に悪影響を及ぼすとして反対、生乳生産量第2位のフランスもこれに同調し棄権した。

 これに対し、欧州委員会フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は、クオータ枠拡大に伴う生乳生産の増加は義務ではなく、加盟国の判断で枠配分の留保が可能なこと、また、拡大する需要に合わせ、若い意欲のある生産者に枠配分が可能であるとして、これらの反対意見には誤解があるとした。

自国のクオータを超過した場合に課徴金

 欧州委員会の提案では、クオータを超過した場合、各加盟国には現行の規定どおり100キログラム当たり27.83ユーロ(4,314円:1ユーロ=155円)の課徴金が課されることとなる。これに対し、一部の加盟国からは、生産拡大余力がある加盟国が仮に2%を超えて生産を行っても、EU全体でクオータを超過していなければ課徴金を課さない提案がなされた。

 これに対し、理事会では、近年、各加盟国がクオータ枠を使い切っていないとしてこの提案には合意せず、当初案どおり、自国のクオータを超過した場合に課徴金が課せられることとなった。
【和田 剛 平成20年3月18日発】
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