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フィードロット飼養頭数は回復基調へ(豪州)

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クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州を中心に回復

 豪州フィードロット協会(ALFA)は7月17日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査として、2008年6月期の結果を発表した。これによると、2008年6月末時点の総飼養頭数は68万6千頭と、前回調査(2008年3月末:60万4千頭)比で13.5%増と2期続けて回復基調となっているものの、前年同期比では21.2%減と大きく下回っている。
 州別では、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州で前回調査比29.4%増と大幅に増加するとともに、第2位のニューサウスウェールズ(NSW)州、ビクトリア(VIC)州のといった東部州で10%前後増加した。特にQLD州やNSW州といった北部地域では、干ばつの影響が比較的小さく、また小麦や大麦より安価なソルガムが豊作で利用可能であることから、飼養頭数の大幅な増加につながった。一方、西オーストラリア(WA)州や南オーストラリア(SA)州は減少している。これらの地域では、この時期、気象状況が平年並みとなったため、グラスフェッド牛肉としての肉牛生産が進んだためである。
 また、フィードロットの収容能力頭数は、113万8千頭と前回調査(118万7千頭)比4.1%減と減少に転じた。この結果、フィードロット稼働率は60.3%と前回調査時の50.9%より9.4ポイント改善したが、依然として低水準の状況にある。
州別フィードロット飼養頭数内訳

フィードロット経営は依然として厳しい状況が続く

 ALFAは今回の調査結果について、フィードロット飼養頭数は回復してきているものの、フィードロット経営にとっては不十分である。フィードロット経営は、主要通貨に対する豪ドル高、依然として高水準にある小麦、大麦およびソルガムなどの飼料穀物価格、さらに最近の素畜価格の上昇などにより依然として厳しい状況にあると指摘している。
 またMLAは、豪ドル高や飼料穀物価格高により、輸出市場における豪州産牛肉の競争力が引き続き低下した。特に米国、日本および韓国といった主要輸出国向けグレインフェッド牛肉輸出量は、いずれも前年実績を下回っている。これは、輸出相手先における経済情勢が停滞したことにより、豪州における牛肉生産コストの増加を輸出販売価格に十分転嫁できなかったためであると指摘している。
 豪州におけるフィードロット飼養頭数は、2003年12月に米国で初めてBSEの発生が確認されて以来増加傾向で推移し、2006年6月期には最高となる94万頭を記録、その後も2007年6月期までは87万頭を越える水準を維持した。しかしながら、2007年9月期から12月期にかけては、フィードロット経営環境の悪化に伴い飼養頭数が大幅に減少し、2007年12月期には58万4千頭と半年間で32.8%飼養頭数が減少した。同様にフィードロットの稼働率は、2007年6月期までは8割前後を維持していたが、2007年12月期には50.7%まで下落した。
フィードロット飼養頭数等の推移
【井田 俊二 平成20年7月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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