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酪農生産は引き続き増加を予測(NZ)

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生乳生産量は2009年度から2012年度まで増加傾向を維持

 ニュージーランド(NZ)農林省は8月5日、NZ農林業の現状および2012年度までの予測に関するレポートを公表した。

 酪農について、2008年度(2007年6月〜2008年5月)の生乳生産量(乳固形分ベース。以下同じ。)は、干ばつの影響により前年度比3.2%減少の見込みである。しかしながら生産量の落ち込みは一時的で、2009年度には乳牛メス飼養頭数の増加や1頭当たりの生乳生産量の増加により生乳生産量は同7.7%増加に転じ、その後も2012年度まで増加傾向を維持すると予測している。

 2007年6月末現在の経産牛・初妊牛飼養頭数は前年度比0.7%増の417万頭である。しかしながら、全体の乳牛飼養頭数は同1.8%増とこれを上回っており、今後、搾乳頭数の一層の増加が見込まれる。

 2008年度の生産者乳価(インフレ調整値)は、乳製品国際価格の上昇を反映して、1965年以来43年ぶりの高値を記録する見込みである。今後の乳製品国際価格は、2008年初をピークとして下落傾向となるものの、引き続き乳製品需要は堅調である。このため、2009年度以降の生産者乳価は2008年度の水準を下回るものの、2006年以前よりもかなり高い水準を維持すると予測している。

 2008年度の乳製品輸出については、輸出額が乳製品国際価格の上昇を反映して同24.7%増の104億7,800万NZドル(7,963億円:1NZドル=76円)と大幅に増加する一方で、輸出量は干ばつの影響により同7.0%減と前年度を下回った。2012年度の輸出額は、為替レートのNZドル安への移行、経産牛頭数の増加および1頭当たりの乳固形分生産量の増加を反映して、2008年度比で13.5%増になると予測している。
表

牛肉生産量は2011年度以降回復、ラム肉生産量は減少傾向で推移

 2008年度の牛肉生産量は、年初の干ばつの影響によりと畜体重の減少および加工用牛肉の生産が減少したため、前年度比4%減となった。2009年度および2010年度の牛肉生産量については、干ばつの影響により2008〜09年度における子牛の出生頭数が少なくなる一方、牛群の再構築が進むことから減少し、2011年度以降、牛肉生産量は回復基調になると予測している。なお、肉用牛飼養頭数は440万頭と大きな変動はないが、2012年までは同等の水準を維持すると予測している。

 また羊の飼養頭数については、干ばつのほかラム肉および羊毛の生産者価格が低迷し経営環境に恵まれた酪農への転換が進んだことから、引き続き減少傾向となっている。このため、ラム肉生産量は、2009年以降減少率が緩やかになるものの、2012年まで減少傾向が続くものと予測している。

南島における酪農の進展が一層進む

 また今回のレポートでは、南島における農業生産が酪農やワイン生産量の増加により拡大していると報告している。

 酪農の拡大は、干ばつ、NZドル高およびラム肉・羊毛価格の低迷などの影響により、羊から酪農への経営転換を図られたことなどが要因である。その結果、南島における乳牛飼養頭数は前年度比13%増となり、NZ全体乳牛飼養頭数の31%を占めるまでに拡大した。
【井田 俊二 平成20年8月12日発】
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