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米国農務省、2008年産の主要穀物の生産予測を引き上げ(10月)

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 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は10月10日、2008年の主要作物の生産予測量を公表した。
トウモロコシの生産予測量は9月の好天候による予想単収の引き上げにより、また、大豆の生産予測量は予想収穫面積の大幅な引き上げにより、いずれも前月の予測量を上回った。

 トウモロコシの生産予測量は121億9,991万ブッシェルと9月の公表値から1.1%引き上げられた。収穫予測面積は7,920万エーカーで前月から0.1%引き下げられたが、1エーカー当たり収量予測値が9月の公表値を1.7ブッシェル上回る154.0ブッシェルに修正されたことが生産予測量の引き上げにつながった。

 USDA/NASSは、8月に降水量不足に見舞われたコーンベルト地域において、9月に入って適度な降水量が見られたことなどを単収改善の要因として挙げている。地域別に見ると、コーンベルト東部を除く主要生産州の大半で単収予測値が引き上げられており、全国的に見ても、2004年(160.4ブッシェル/エーカー)に次ぐ史上二番目の高単収を記録することが確実視されている。

 大豆の生産予測量は29億8,302万ブッシェルと9月の公表値から1.7%引き上げられた。昨年の生産量も同時に上方修正されたため、前年比では11.5%の増加となる。トウモロコシとは異なり、単収予測値は9月の公表値を0.5ブッシェル下回る1エーカー当たり39.5ブッシェルに引き下げられたが、収穫予測面積が7,548万エーカーと前月から2.9%引き上げられたことが生産予測量の引き上げにつながった。なお、この予測面積は、過去最大を記録した2006年の7,460万エーカーを上回っている。

 USDA/NASSは、収穫予想面積が大きく増加した理由を公式データの確定によるものとしか説明していない。しかし、収穫予想面積が大きく引き上げられたアイオワ州(930万エーカー→980万エーカー)やネブラスカ州(470万エーカー→495万エーカー)では、トウモロコシの収穫予想面積と大豆の予想単収が前月予測から引き下げられており、春先の悪天候を受けて、一旦作付けしたトウモロコシをあきらめて大豆を再播種した耕地がかなりの面積に上っていたことがうかがわれる。

 アルファルファ乾草の生産量は7,142.4万トンと前回8月の公表値から0.7%引き上げられたが、前年の生産量を1.6%下回ると予測されている。収穫予測面積は前回と変わらず前年比4.1%減の2,078万エーカーとされたが、1エーカー当たり収量予測値が8月の公表値を0.04トン上回る3.44トンに修正されたことが生産予測量の引き上げにつながった。

 予測単収の変動を地域別に見ると、降水量に恵まれたカンザス、ノースダコタ、サウスダコタなど平原地帯で予測値が引き上げられる一方、伝統的酪農地帯を抱えるウィスコンシン、ミネソタ、アイオワなどでは横ばいないし引き下げられている。また、わが国への主要供給先となっている西海岸では、カリフォルニア州で引き上げられる一方で、その北に位置するオレゴン州やワシントン州では予測単収が引き下げられている。

 一方、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が同日に公表した10月の世界農産物需給推計の月次報告によると、2008/09年度におけるトウモロコシの消費仕向け量の予測値は、飼料向けが上積みされる一方でエタノール向けが引き下げられ、全体ではほぼ前月と変わらない126億8,500万ブッシェルの予測となっている。
また、生産予測量が引き上げられたため、期末在庫数量は前月予測を上回る11億5,400万ブッシェルになると予測されている。

 これに対し、大豆の消費仕向け量は、国内搾油向けが前月予測よりも引き下げられる一方で輸出向けは引き上げられており、全体で29億7,500万ブッシェルと前月予測をわずかに上回る水準に上方修正されている。しかし、期末在庫数量については、2007年と2008年の生産量が大きく上方修正されたことに伴って前月予測から大きく引き上げられており、2億2,000万ブッシェルの予測となっている。

 なお、2008/09年度の生産者販売価格については、シカゴマーカンタイル取引所の先物取引価格が大きく下落していることを受けて、トウモロコシが前月からブッシェル当たり0.80ドル、大豆が同2.00ドル引き下げられ、それぞれ4.20〜5.20ドル、9.60〜11.10ドルになると予測されている。

 この予測値の公表を受け、10日の穀物価格は大きく下落した。コーンベルトの主要積載地におけるトウモロコシの現物取引価格は、前日から同0.24〜0.45ドル下落して軒並み4ドルを割り込み、12月限月のシカゴ先物取引価格も限度一杯の同0.30ドル下げで4.0825ドルとなった。また、大豆の現物取引価格は前日から同0.63〜0.70ドル下落して8ドル台となり、11月限月のシカゴ先物取引価格も限度一杯の同0.70ドル下げで9.10ドルとなった。
(表1)主要州におけるトウモロコシの単収と生産量
(表2)主要州における大豆の単収と生産量
(表3)主要州におけるアルファルファ乾草の単収と生産量
(表4)米国における主要飼料穀物の需給見通し
【郷 達也 平成20年10月10日発】
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