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鶏肉の中国向け輸出が許可(ブラジル)

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24社が輸出許可

 ブラジル農務省(MAPA)は5月27日、鶏肉パッカー22社が中国衛生当局の輸出許可を受けたと発表した(その後、2社追加され24社)。中国衛生当局は、昨年の12月に同国の鶏肉パッカーの輸出認定は行ったものの、輸出許可は行っていなかった。

 このため、4月中旬に政府関係者や業界団体からなる使節団が中国を訪問して交渉を進め、5月中旬にルーラ大統領が同国を訪問した際、輸出許可に関する文書が正式に調印された。これまで、ブラジルは香港向けにパーツ主体で2008年は約42万トンの鶏肉を輸出しているが、その一部は香港経由で中国に流れているとみられる。

 なお、併せて交渉が行われていた牛肉および豚肉などの輸出については、一部進展はあったものの、衛生条件の面から引き続き協議されることとなった。

今後中国向け輸出が順調に進めば、輸出量は過去最高の2008年を上回る可能性も

 今回の鶏肉の中国向け輸出許可は、国際金融危機の影響による輸出の減少などで経営が圧迫されているブラジル鶏肉パッカーにとって、朗報となった。ブラジル鶏肉輸出協会(ABEF)関係者によれば、ブラジルは鶏肉の生産施設における衛生水準と品質が高いことから、今後中国向け輸出が順調に進めば輸出量は過去最高であった2008年(約326万8千トン)を5%程度上回る可能性もあるという。また、政府関係者によれば、輸出先としての中国の鶏肉市場は、10億ドル(約960億円:1ドル=96円)近くあるとみられ、軌道に乗ればブラジル鶏肉業界に大きな好機をもたらすとのことである。

 ABEF関係者によれば、現時点で2社が中国企業と輸出契約(輸出数量などは今のところ非公表)を交わしたとのことであり、今月中にも輸出が開始される見込みである。ほかのパッカーも輸出できる体制が既に整っており、今後、ブラジルが中国向け鶏肉輸出を順調に伸ばすことができるか注目される。
【石井 清栄 平成21年6月5日発】
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