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EUの農産物価格指数、3年連続で上昇

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英国が2年連続で二ケタ台の上昇

 EU統計局(EUROSTAT)は2009年2月11日、2008年の農産物価格指数を公表した。

 これによると、2008年のEU27カ国全体の農産物の名目価格指数は前年に比べ6.5%上昇、物価変動を加味した実質価格指数も同2.7%上昇しており、2006年以降3年連続の上昇となっている。しかし、上昇率の幅は2007年に比べ縮小している。

 国別に見ると、実質価格指数が最も大きく上昇した国は英国で、前年の10.6%に続き18.1%の上昇と2年連続で二ケタ台の上昇となっている。一方、低下した国は、ラトビア(9.9%減)、リトアニア(8.4%減)、ポーランド(5.7%減)などの8カ国となっている。

家畜、畜産物の価格指数は25カ国で上昇

 この上昇は、昨年大きく上昇した農作物価格がほぼ前年並みとなったものの、家畜および畜産物の価格がかなりの程度上昇(実質価格指数、前年比(以下同じ)6.6%)したことが主な要因となっている。

 品目別に見ると、昨年低下した牛、豚、羊・ヤギの価格がそれぞれ2.4%、10.3%、4.5%と上昇している。また、昨年上昇した家きん、生乳、卵の価格も前年ほどの上昇幅とはなっていないが、それぞれ6.1%、7.5%、3.7%と上昇しており、そのほかの畜産物の0.2%低下を除きすべて上昇している。

 国別で見ると、昨年は増減にばらつきがあったが、2008年はラトビア、スペイン以外はすべて上昇している。最も上昇率の高かった国は、全体の価格指数同様、英国で22.8%の上昇となっている。これにスウェーデン(13.8%)、フィンランド(10.3%)、キプロス(10.2%)が続いている。

 農作物については、工芸作物(10.8%)、飼料作物(7.4%)、果実(6.1%)穀物(1.3%)は上昇したが、バレイショ(16.4%減)、オリーブ・オリーブオイル(7.2%減)、ワイン(6.2%減)の低下率が大きかったことから全体では0.6%の低下となっている。
農産物価格指数の対前年比の推移(EU27)

生産資材価格指数は大幅に上昇

 生産資材価格指数については、名目価格指数が16.3%上昇、物価変動を加味した実質価格指数も11.6%上昇と3年連続で上昇している。

 すべての生産資材価格指数が上昇しており、なかでも大幅な上昇となったのが肥料(60.6%)、エネルギー・機械油(16.9%)および家畜飼料(14.6%)となっている。

 国別に見ても低下した国はなく、ここでも最も上昇率の高かった国は英国となっており、21.4%の上昇となっている。
【小林 奈穂美 平成21年2月17日発】
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