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2009年の豚肉生産は前年に引き続き減少と予測(EU)

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豚肉生産量は前年比3.6%の減少

 EUの豚肉関係者で構成される豚肉助言グループの予測委員会における豚肉需給見通しによると、2009年の豚肉生産量は、加盟国27カ国全てで減少し、EU全体で2,179万トン(枝肉ベース。以下同じ。)と、前年と比較して3.6%減少すると予測されている。

 主要国について見ると、EU最大の生産国であるドイツでは同1.8%減の502万トン、第2位のスペインでは同2.4%減の340万トン、第3位のフランスでは同5.1%減の216万トン、第4位のポーランドでは同7.4%減の175万トン、第5位のデンマークでは同1.0%減の169万トンとなっている。

卸売価格は前年を下回ると予測

 EUの豚枝肉卸売価格は、需要の伸び悩みから2007年は大きく落ち込んだが、2008年は、輸出補助金の再開(2007年11月30日〜2008年8月8日)や生産量の減少に刺激され、輸出が活発化し、年平均で100キログラム当たり153.24ユーロ(約2万1千円:1ユーロ=138円)と前年を13.4%上回る結果となった。

 一方、同委員会は、2009年については、生産量の減少や、昨冬からの経済・金融危機、新型インフルエンザなどの影響により域内需要が緩和していること、かつ、域外需要も経済・金融危機により韓国やロシアなどの主な輸出国の通貨切り下げの影響を受けていることを挙げ、同価格は同146.80ユーロ(約2万円)と、前年を4.2%下回る予測となっている。
EUの豚肉生産量と豚枝肉卸売価格の推移

主要生産国の状況予測

ドイツ 2008年は、飼養頭数は減少したものの、その落ち込みを生産性の向上や生体豚の購入により補った結果、生産量は前年比2.5%増の511万トンとなった。この傾向は2009年も続くとされており、生体豚購入頭数は前年比10.8%増の1,280万頭と予測している。生体豚購入頭数のと畜頭数に占める割合は、2009年第1四半期は11%と前年同期を上回っている。また、ドイツでは欧州における第三国向け製品の生産拠点になる傾向がますます強くなるとしている。

スペイン 2009年は、失業率の悪化による食糧需要の低下や、輸出補助金がゼロとなって以降の輸出の落ち込み、新型インフルエンザの影響を理由として、生産農家の負債の増加や離農など危機的状況になるとしており、この影響により生産量は減少するとしている。

フランス 2007年以降、繁殖めす豚の飼養頭数は減少したものの生産性の向上により生産量は安定していたが、他国同様、経済・金融危機による世界的な需給の緩和により、2009年の生産量は減少するとしている。

ポーランド 枝肉卸売価格は2009年も好調としており、前年比17%上昇するとしている。また、2009年の生産量は、他国同様、経済・金融危機による世界的な需給の緩和により減少するとしている。

デンマーク 当初、危機的な落ち込みを見せるとしていた飼養頭数は、繁殖めす豚頭数の増加により2009年4月に落ち着きを取り戻していることから、2009年の生産量は、前年に比べわずかな減少にとどまるとしている。

【小林 奈穂美 平成21年6月3日発】
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