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ボエル委員、各国農相に輸入飼料原料中の未承認GM作物混入に現実的対応を求める(EU)

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7月中旬までに約20万トンの米国産大豆が輸入差し止めに

 欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業、農村担当)は9月11日、自身のブログで、欧州食品安全機関(EFSA)で肯定的なリスクアセスメント結果が出されているにも関わらず認可に至っていない遺伝子組換トウモロコシの一種(MON88017)について、10月に予定されている次回の農相会合で認可するよう求めた。

 これは、7月中旬までに約20万トンという大量の米国産大豆が、EUではまだ認可されていない遺伝子組換トウモロコシ(MON88017)の微量の混入を理由として輸入差し止めとなったことに触れ、飼料用大豆の安定輸入とEU域内における畜産の国際競争力確保のために当該遺伝子組換トウモロコシの早急な認可を求めたものである。

 9月7日に開催された直近の農相会合では、多くの加盟国が当該遺伝子組換トウモロコシの認可に肯定的な反応を示したものの、一部の加盟国で慎重論が示されたことを受けての対応とみられ、「当該遺伝子組換トウモロコシの認可が議題の一つとなっている次回の農相会合の成果が実りあるものになると考えている。」との希望を述べている。

第三国における新たな遺伝子組換作物の栽培開始には迅速な認可で対応していくもよう

 当地報道によれば、9月7日の農相会合では、当該遺伝子組換トウモロコシ(MON88017)の認可に肯定的な反応を示した加盟国の中からも、未認可遺伝子組換作物について機能し得る混入許容割合を規定すべきとの意見が示されたもようである。これらの加盟国の観点から見ると、今回の欧州委員会の対応は、短期的な対応としては評価できるものの、将来的には、偶発的な未認可遺伝子組換作物の混入を一定程度許容するような制度を設けなければ根本的な解決とはならないということであろう。

 同委員は前述のブログの中で、第三国における新たな遺伝子組換作物の認可(栽培開始)にEU側の認可手続きを同調させなければ、将来さらに大きな問題に直面すると警告しており、欧州委員会としては当面、EU側の認可を迅速化させることでこの問題に対処していく方針とみられる。


(ボエル委員のブログ)
(EFSAのMON88017に関するリスクアセスメント結果)
【前間 聡 平成21年9月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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