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2009/10年度の冬穀物生産見通しは、上方修正(豪州)

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2009/10年度の冬穀物生産見通しは、前回予測をやや上方修正

 豪州農業資源経済局(ABARE)は9月15日、2009/10年度(7〜6月)穀物生産見通しを発表した。これによると、冬穀物の総生産量は前年度比8%増の3596万トンと、前回6月発表時の3480万トンからやや上方修正された。これは、冬穀物の総作付面積が前回予測に比べ1.4%増加し、2221万ヘクタールと見積もられていること、冬穀物の作付け・生育期に当たる6〜8月の間、クイーンズランド(QLD)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部においては、平年を下回るもしくはかなり下回る降水量であったものの、冬穀物の主産地である西オーストラリア(WA)州および南オーストラリア(SA)州、ビクトリア(VIC)州において、平年並みかそれ以上の降雨に恵まれたことによるものである。

前回予測と変わらず品目別では、小麦、大麦が増産、カノーラが減産見込み

 主要冬穀物の生産見通しを品目別に見ると、前年度と比較し、小麦が6%増の2,272万トン(前回予測比3.4%増)、大麦が16%増の790万トン(同2.4%増)、カノーラが8%減の172万トン(同0.9%増)と見込まれている。
2009/10年度における主要冬穀物の生産見通し
 また、生産量を州別に見ると、最大の生産量を誇るWA州は、前年度比4%減の1298万トンと見込まれる。冬期(6月〜8月)に降雨の少なかったNSW州およびQLD州は、それぞれ同5%減の912万トン、同23%減の169万トンと見込まれている。一方、冬期の降雨に恵まれたSA州およびVIC州については、前年度の生産量が干ばつの影響により例年に比べ少なかったこともあり、2009/10年度は、それぞれ同42%増の655万トン、同80%増の555万トンと見込まれている。

夏穀物の作付面積は前年度比5%減、生産量は同16%減の見込み

 これから作付けが始まる2009/10年度の夏穀物についてABAREは、作付面積は前年度比5.2%減の106万ヘクタール、生産量は、綿実については増加が見込まれるものの、ソルガムの減産などから同16%減の294万トンと見込んでいる。

 品目別に見ると、家畜の飼料として利用されるソルガムは、作付面積が同7.7%減の66万2千ヘクタール、生産量は同20%減の185万トンと予測されている。かんがい用水に依存した生産を行っている綿実およびコメは、作付面積がそれぞれ同19%増の19万5千ヘクタール、前年同の8千ヘクタールと見込まれている。生産量については、綿実が同14%増の53万1千トン、コメは、同3%増の6万8千トンと見込まれるものの、過去5年間の平均生産量のわずか16%に過ぎない。綿実については、前年度に比べかんがい用水の利用が改善され、作付面積を拡大できることから、生産量がかなり増加すると見込まれている。一方、コメは、かんがい用水利用権の割り当てが少ないため、生育に必要な水量を確保することが難しく、作付面積を拡大できないことから、歴史的な低水準が見込まれている。
【杉若 知子 平成21年9月17日発】
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