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インドネシア向けの牛肉および生体牛輸出が好調に推移(豪州)

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2009年1〜10月のインドネシア向けの牛肉輸出量は、前年同期比47%増と大幅増加

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が先ごろまとめた報告書によると、2009年のインドネシア向け牛肉輸出および生体牛輸出はそれぞれ好調に推移している。こうした背景には、堅調な経済成長に伴い同国の牛肉需要が増加していること、同国内で素牛供給量が不足していると伝えられることがある。

 牛肉の輸出先は、日本、米国、韓国の3市場が大部分を占めるが、インドネシアはこれらに次ぐ4番手の市場である。2009年1〜10月におけるインドネシア向けの牛肉輸出量(子牛肉を含む。船積重量ベース。)は、前年同期比47%増の4万478トンと大幅に増加し、このうち、冷凍牛肉は、同44%増の36,582トンとなった。冷凍牛肉はおもにミートボールやソーセージ用など加工向けとなるが、ニュージーランド産などと比べ豪州産の価格優位性が高まったことが輸出増につながったとみられる。また、冷蔵牛肉も、豪州産素牛由来の牛肉より価格が安価となったことなどから、同83%増の3,896トンと大幅に増加した。

2009年1〜9月のインドネシア向けの生体牛輸出頭数は、前年同期比15%増とかなり増加

 生体牛輸出については、インドネシアが最大の仕向け先である。生体牛輸出は、2006年以降、増加傾向で推移し、2007年は前年比13%増の71万9千頭、2008年は同21%増の86万9千頭となった。このうち、インドネシア向けは、2007年が同34%増の51万7千頭、2008年が同26%増の65万頭と大幅に増加し、豪州の生体牛輸出を牽引している。さらに、2009年1〜9月の同国向け輸出頭数も前年同期比15%増の54万4千頭とかなり増加した。
生体牛輸出頭数の推移

ブラジル産牛肉との競合の可能性や生体牛の供給懸念も

 一方、MLAでは、インドネシア市場における懸念材料として、同国政府が2009年8月、ブラジルの口蹄疫ワクチン接種清浄地域にある5カ所の食肉処理・加工施設から骨なし牛肉の輸入を認めたことを挙げている。両国間で衛生証明の問題が解決されていないことからまだ輸入は行われていないものの、インドネシア市場においてブラジル産牛肉との競合が今後、脅威となる可能性があるとしている。また、生体牛輸出の見通しについては、主要供給地の豪州北部において過去18カ月間に発生した洪水や干ばつの影響により、生体牛の供給懸念もあるとしている。

MLAはジャカルタに事務所を開設する予定

 インドネシア向けの牛肉および生体牛輸出が増加する中、MLAのドン・ヒートリー会長は、11月19日に開催された年次総会において、近々、同国の首都ジャカルタに事務所を開設すると発表した。MLAでは、世界第4位の人口を有するインドネシア市場について、消費者の大部分は伝統的なウェット・マーケット由来の生鮮牛肉を好むことから、肥育素牛としての生体牛に対し引き続き堅調な需要が見込める一方、量販店で牛肉を購入する消費者層も増加していることから、冷凍・冷蔵牛肉輸出を拡大する好機もあるとみている。MLAは、同市場において、同国肉牛業界と連携し牛肉の栄養価について普及啓発を行うなど販売促進活動を展開する意向である。
【玉井 明雄 平成21年12月4日発】
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