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鶏肉価格がかなり上昇(フィリピン)

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2009年第3四半期までの農業生産額は前年同期比1.6%増

 フィリピン農務省農業統計局(BAS)は、2009年1〜9月分の農業生産状況を公表した。農業部門全体における生産額は、前年同期比1.6%増の8493億ペソ(約1兆6137億円:1ペソ=1.9円)となり、前年同期より伸び率は低下したものの、引き続き増加傾向で推移している。

 部門別生産額では、耕種部門が同1.8%減の4500億ペソ(約8550億円)、水産部門が同3.2%増の1606億ペソ(約3051億4千万円)となったほか、畜産関係については、家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同4.9%増の1384億ペソ(約2629億6千万円)、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)は同11.4%増の1003億ペソ(約1905億7千万円)となった。このうち、家畜部門では豚肉の生産額が1134億ペソ(約2154億6千万円)で同部門全体の約8割、家きん部門では鶏肉生産額が731億ペソ(約1388億9千万円)で同じく約7割を占めている。特に、鶏肉については、後述のとおり生産量が増加するとともに、生産者販売価格が同7.6%高となったこともあり、生産額は同11.1%増と前年をかなり大きく上回った。
表1 2009年1月〜9月の農産物生産額、生産量、生産者販売価格

鶏肉生産量は増加傾向で推移

 畜産関係の生産量を品目別に見ると、家畜部門では豚肉が前年同期比2.2%増の134万8千トン、生乳が同1.6%増の1万トン、牛肉が同1.4%増の17万3千トン、水牛肉が同1.3%増の10万1千トン、ヤギ肉が同3.1%減の5万8千トンとヤギ肉を除いていずれも増加傾向で推移した。BASによると、豚肉の生産量が増加した要因は、第1、第2四半期を通して、ビサヤ地方、ミンダナオ地方でと畜頭数が増加し、また、第3四半期にルソン島において豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)が発生したものの、政府がワクチン接種を実施していたことにより感染の拡大を防止できたためとしている。家きん部門では、鶏肉が前年同期比3.2%増の89万8千トン、鶏卵が同6.3%増の27万3千トンと上半期に引き続き増加しているが、鶏肉は前年同期より伸び率は低下している。アヒルについては、アヒル肉が同6.0%減の2万7千トン、アヒル卵が同4.5%減の3万トンとなった。

キャッサバ生産量が増加

 耕種部門の生産量は、トウモロコシが前年同期比0.8%増の559万1千トンとなったほか、サトウキビが同23.3%減の1503万2千トン、キャッサバが同6.3%増の145万2千トンとなった。このうち、キャッサバ生産量についてBASは、第2四半期にブキノドン州やミサミス・オリエンタル州において、キャッサバチップ業者との契約栽培面積が拡大したことや、ボホール州や北部ミンダナオ地方、ムスリム・ミンダナオ自治地域において、食用、飼料用、加工用としてキャッサバ需要が増加したことにより、作付けが拡大されたことが増加の要因としている。

加工業者からの需要増などにより鶏肉価格がかなり上昇

 部門別の生産者販売平均価格では、豚肉が前年同期比1.5%高の1キログラム当たり84.12ペソ(約160円)となったほか、鶏肉が同7.6%高の同81.41ペソ(約155円)となるなど、家畜および家きん部門ではすべての品目が前年並もしくは前年を上回った。また、耕種部門では、トウモロコシが同2.5%高の同11.07ペソ(約21円)、キャッサバが同7.2%高の同5.53ペソ(約11円)となった一方、サトウキビが同12.3%安の同1.14ペソ(約2円)となった。BASによると、鶏肉価格が上昇した要因は、カラバルソン地方や中部ルソン地方、北部ミンダナオ地方において鶏肉加工業者からの需要が増加したためとしている。また、9月末に発生した台風の影響により、生産コストが上昇し、さらにひなの供給が一時的にひっ迫したとの報道もあり、これらのことが鶏肉価格の上昇に影響したとも考えられる。
【吉村 力 平成21年12月2日発】
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