米国農務省、2009/10年度の飼料穀物の国内生産予測量を下方修正
米国農務省(USDA)は5月12日、2009/10穀物年度における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。これによると、米国におけるトウモロコシおよび大豆の生産予測量は、コーンベルト東部の作付け遅れの影響などを反映して、2月27日に農業予測会議で公表されていた予測値から下方修正されている。
米国の2009年産トウモロコシの生産量は2008年を下回る見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した5月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2009/10穀物年度(2009年9月〜2010年8月。以下、「年度」)のトウモロコシ生産量は、本年2月の農業予測会議における予測量(123億6,500万ブッシェル)から大きく引き下げられ、前年度を0.1%下回る120億9,000万ブッシェルになると予測されている。
今回、予測生産量が引き下げられたのは、3月上旬に実施された生産者意向調査の結果を踏まえて予測作付面積が8,600万エーカーから8,500万エーカー(前年度比1.2%減)に削減されたことに加え、東部コーンベルト地域でのは種の遅れにより予測単収が1エーカー当たり156.9ブッシェル(1990年から2008年までの単収の伸びを反映させた予測値)から1.5ブッシェル引き下げられて155.4ブッシェルとされたことが要因である。5月11日に全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した「Crop Progress」によると、全米第2位の生産州であるイリノイ州のは種済み割合は5月10日の段階でわずか10%にとどまっており、過去5年平均の84%はもとより、同様には種が遅れた昨年度の55%も大きく下回っている。ちなみに、主要18州の平均播種済み割合は昨年の同時期と同じ48%となっている。
一方、2009/10年度のトウモロコシ国内消費量は、2月の予測値をわずかに上回る106億6,000万ブッシェル(前年度比2.6%増)と見込まれている。これを用途別に見ると、エタノール向けが連邦政府による使用義務量の引き上げを反映して41億ブッシェル(同9.3%増)に大きく増加する一方で、家畜飼養頭数の減少などから飼料等向けが52億5,000万ブッシェル(同1.9%減)に減少すると見込まれている。また、輸出向けについては、国際市場における安価な飼料用小麦の供給が減少することなどにより、19億ブッシェル(同8.6%増)に増加すると見込まれている。
このように、生産量が伸び悩む一方で需要量は拡大が見込まれることから、USDAは2009/10年度の期末在庫数量が11億4,500万ブッシェル(前年度比28.4%減)まで減少すると予測している。また、年間平均の生産者販売価格についても、高値で推移した2007/08年度や2008/09年度とほぼ同程度(ブッシェル当たり3.70〜4.50ドル)になると予測している。
2009年産大豆は生産量も需要量も増加の見込み
2009/10年度における米国の大豆生産量は、本年2月の予測量(32億4,000万ブッシェル)から下方修正され、前年度を8.0%上回る31億9,500万ブッシェルになると予測されている。2月に比べて予測生産量が引き下げられたのは、大豆の作付予測面積が3月の生産者意向調査の結果を受けて7,600万エーカー(前年度比0.4%増)に削減されたためであり、予測単収は1エーカー当たり42.6ブッシェル(同7.6%増)と2月の予測から変更されていない。これは、大豆のは種の時期がトウモロコシに比べて2週間程度遅いため、現時点では種の遅れがトウモロコシほど明確ではないためである。ちなみに、5月10日時点での主要18州のは種済み割合は14%(過去5年平均は25%、昨年の同時期
は11%)だが、イリノイ州のは種済み割合は1%未満である。
これに対し、2009/10年度の大豆総消費量は、2月の予測値から3,400万ブッシェル引き上げられ、31億700万ブッシェル(前年度比2.0%増)になると見込まれている。用途別に見ると、2008/09年度に大きく減少した国内搾油向けがバイオディーゼル向けの大豆油や輸出向けの大豆ミールなどの需要の回復により16億7,500万ブッシェル(同2.1%増)に増加するとともに、干ばつによる南米の供給減の影響により輸出向けについても12億6,000万ブッシェル(同1.6%増)に増加すると予測されている。
生産量が前年を大きく上回るため、2009/10年度の大豆の期末在庫数量は2億3,000万ブッシェル(前年度比76.3%増)まで回復すると予測されている。一方、ブッシェル当たりの生産者販売価格は、2007/08年度の10.10ドルや2008/09年度の9.85ドルに迫る8.45〜10.45ドルになると予測されている。
【郷 達也 平成21年5月12日発】
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