米国農務省、2009年産トウモロコシの期末在庫予測を引き上げ、大豆の在庫は引き下げる
12月10日発表の世界農産物需給推計の月次報告
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は12月10日、世界農産物需給推計の12月の月次報告を公表した。ただし、12月は同省農業統計局(NASS)によるトウモロコシなどの生産予測がとりまとめられていないため、当月の報告では穀物の生産に係る数値は更新されていない。同報告では、米国における2009/10穀物年度(2009年9月〜2010年8月。以下、「2009/10年度」)のトウモロコシの期末在庫を5000万ブッシェル引き上げている。トウモロコシの収穫が遅れる中、競合するほかの供給国の輸出が増え、米国の輸出が減少したため、この減少相当分が在庫を押し上げることとなった。これに伴うトウモロコシの価格は、前月の1ブッシェル当たり3.25〜3.85ドルの予測を変えていない。
また、NASSの収穫進捗状況調査によると、12月6日までの主要18州における2009/10年度のトウモロコシの収穫は88%と、前週より9ポイント進んでいるものの、1995年の統計以降では最も遅れた状況となっている。現時点でおよそ1000万エーカー分が残されているが、コーンベルトの中西部などで降雪があり、2009/10年度の正確な収量の把握は、来春まで難しいと推測される。
一方、大豆の需給見通しについては、2009/10年度の期末在庫は前月の予測から1500万ブッシェル減の2億5500万ブッシェルと予測されている。これは中国向けなどの輸出が増えたことによる。
期末在庫が下方修正されたことから、2009/10年度の生産者販売価格は、前月の予測から1ブッシェル当たり下値を55セント、上値を5セント上げ8.75〜10.25ドルになると予測されている。
エタノールのガソリンへの混合率の決定が来年6月まで延期
環境保護庁(EPA)は11月30日、エネルギー団体から要請のあるエタノールのガソリンへの混合率の上限引き上げについて、混合率上昇に伴う車のエンジンなどに対する影響評価の試験が完了していないことを理由に、来年の6月中旬まで決定を延期すると発表した。EPAは当初、現行の10%から15%への引き上げを求めるエネルギー団体の要請に対し、12月1日までに回答するとしていた。この発表以降、トウモロコシの先物価格は緩やかに下落している。決定が下される来年の6月に向けて、トウモロコシ価格の今後の動向が注目される。
【中野 貴史 平成21年12月10日発】
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