(1) 生乳生産 高い伸びが続く。とりわけ北海道は高水準 ・ 飲用需要が好調に伸びたこと等により、生産は62年度から前年を上回り63年度 前年度比3.9％増となった。 ・ 平成元年度も前年度比5.4％増と高い伸びを記録し、史上初めて800万トンを超 した（813万トン）。とりわけ北海道は高い伸びとなっている（同7.9％増）。 ・ しかし、元年12月以降、伸びは鈍化している（図1）。 ・ また、生乳生産増に伴って、乳用牛のと畜頭数が前年同月比で1割を上回る減 少を続けている。特に雌は前年を大きく下回っており、いぜん保留意欲の強さが うかがわれる（図11）。 ・ 格付け結果から見ると、乳用雌のうち、経産牛は更新が進み、未経産牛の保留 が著しい（図2）。 ・ この結果、2月1日の経産牛頭数は前年同月比102％に増加している（飼養動向 調査）。 (2) 飲用牛乳等の需給 好調な需要の伸びも鈍化へ ・ 62年度以降、飲用牛乳の消費は、飲用牛乳の成分がグレードアップされたこと、 好天に恵まれたこと等の要素に加え、小売価格が弱含みで推移しているため、好 調に推移し、63年度においても、引き続き好調に推移した（図3）。 ・ 生乳の飲用等向け処理量も63年度は482万トン（前年度比4.8％増）と増加した。 ・ 平成元年度の飲用等向け処理量は、伸びが2年続いたことなどから前半は引き 続き好調に推移したが、9月以降鈍化傾向に転じ、12月、1月は0.4％増とわずか な増加にとどまった。その後2月、3月は1.0％増と若干持ち直しのきざしもみえ ている（図4）。 ・ この結果、元年度の飲用等向け処理量は、対前年度比2.8％増の496万トンとな った。 ・ 飲用仕向けの大宗を占める飲用牛乳消費は、12月0.2％増、1月0.7％増とかろ うじて前年水準を維持するにとどまったが、2月、3月はそれぞれ1.3％、2.2％増 と若干持ち直している。このうち牛乳は12月、1月とも前年を下回り2月、3月も 0.5％、1.5％増にとどまった（図5）。 (3) 乳製品の需給、価格動向 需給は改善、価格は軟化 ・ 62年度は、飲用需要の好調もあって乳製品の生産は前年を大幅に下回り、在庫 の取り崩しが進んだ（表1）。 ・ 63年度も、飲用需要が好調なことから、乳製品需給はひっ迫し、このため、畜 産振興事業団はバター、脱粉の輸入・放出を実施した。この結果、価格は低下の きざしをみせたものの、依然、安定指標価格を相当上回る水準で推移した。 ・ 平成元年度に入り、前半は、乳製品の需給は依然引き締まり、価格は高水準で 推移したことから、事業団はバター、脱粉の輸入及び手持分も含めた売渡しを実 施した。 平成元年度の輸入枠及び売買数量
| バター | 脱粉 | |
| 輸入枠 | 10,000t | 13,000t |
| 買入数量 | 7,908 | 10,047 |
| 売渡数量 | 7,908 | 14,253 |
最近では、生乳生産の増勢が強まり、反面、飲用需要が鈍化したことから乳製 品向け処理量も高い伸びを続けている（図4）。このため価格も軟化傾向に転じ ている（図6,7）。 ・ なお、近年バターと脱粉生産の比率をみると、脱粉の生産が一貫して増加して いる（図8）。
表1 乳製品の在庫(各年度) （単位：千トン､ヵ月）
＼ |
区分 | バ タ ー | 脱脂粉乳 | ||||
| 年度 | ＼ |
民 間 | 事業団 | 計 | 民 間 | 事業団 | 計 |
55 |
16(3.1) 7(1.3) 12(2.1) 17(2.8) 20(3.3) 30(4.6) 29(4.4) 12(1.8) 16(2.2) |
12(2.3) 12(2.1) 3(0.5) 1(0.2) 0 0 0 0 0 |
28(5.4) 19(3.4) 15(2.6) 18(2.9) 20(3.3) 30(4.6) 29(4.4) 12(1.8) 16(2.2) |
31(3.3) 16(1.5) 24(2.0) 23(1.9) 22(1.5) 32(2.3) 36(2.5) 13(0.9) 18(1.2) |
44(4.7) 44(4.2) 22(1.9) 9(0.7) 8(0.6) 8(0.6) 7(0.5) 7(0.5) 4(0.3) |
75(8.0) 59(5.7) 45(3.8) 32(2.6) 30(2.1) 40(2.8) 44(3.0) 20(1.4) 23(1.5) |
|
資料：農林水産省畜産局調べ
・ なお、国産チーズに仕向けられた生乳量は、昭和62年度219.012トン、63年度 は、生乳需給のひっ迫により前年を下回る208.671トン（対前年度比95.3％）と なったが、平成元年度は生乳需給の改善もあって240,542トン（前年度比115.3％） と増大した。
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