豚肉


(1) 消費
 前年を若干上回る水準で推移

・ 近年、豚肉の消費量は、引き続き増加傾向にあるものの、伸び率は鈍化してお
 り、2年度に入ってからはおおむね前年と同水準で推移している(2年4〜2月、前
 年同期比100.5%)(図30)。

・ 豚肉の消費の約4割を占める家計消費は、2年度に入ってからは前年水準をわず
 かに下回る水準で推移している(4〜1月前年同期比99.2%)(図31)。

・ 加工用需要は、2年度に入ってからは豚肉加工品の生産が総じて低調なことか
 ら、5月以降前年同月を下回って推移してきたが、3年1月は、9ヵ月振りに前年水
 準を上回った(前年同月比103.2%)(図31)。

(2) 生産
 平成2年度に入り減少傾向

・ 平成2年度に入り、4月を除いて生産は毎月前年水準を下回っており、3年2月も
 前年同月比96.6%と低水準に推移した(図32)。

・ 平成3年2月1日の飼養動向調査によれば、総飼養頭数は、11,306千頭と前年2月
 に比べ4.2%の減少となった。特に、子取り用めす豚は、6.3%と大きく減少した。

(3) 輸入
 在庫増から低迷していた輸入は回復へ

・ 輸入は、2年6月以降前年水準を大きく割り込んでいたが、3年1月には8ヵ月振
 りに前年水準を上回り、2月も前年同月比112.1%と増加した。しかし、4〜2月で
 みれば依然として前年同期を大きく下回っている(前年同期比94.4%)(図33)。
 この結果、2月末の在庫水準は、前月に比べ約4,400トン増加し、68千トンとなっ
 た(図34)。

(4) 価格
 9月以降低迷していた価格は回復へ 

・ 卸売価格は近年、季節的な変動を伴いつつもおおむね安定価格帯の範囲内で安
 定的に推移してきた。

・ 元年11月以降、卸売価格は強含みで推移しており、2年7、8月には、それぞれ、
 614円、629円/kgと安定上位価格を上回った。しかし、9月に入って弱含みに転
 じ、10月中旬から11月末にかけて安定基準価格(400円/kg)を割り込んで推移
 した(10月393円/kg、11月370円/kg)。

  これを受けて、3年1月から、生産者団体等が豚肉を冷凍保管して市場隔離する
 事業団の指定助成対象事業による調整保管が開始された。一連の対策の効果もあ
 り、2月の卸売価格(468円/kg)は中心価格付近にまで回復しており、3月は更
 に上昇している(図35)。

(5) 平成2年肥育豚生産費
 前年に比べ1.9%減、収益性は向上

・ 平成2年肥育豚生産費(調査期間平成元年7月〜2年6月)は、生体100kg当たり
 27,851円(第2次生産費)と、前年に比べ586円(2.1%)減少した。

・ 生産費の費目構成(物財費に労働費を加えた費用合計に対する各費目の割合)
 は、もと畜費が45.1%(12,544円)、飼料費36.0%(10,015円)、労働費11.2%
 (3,115円)と、これら3費目で費用合計の92.3%を占めている。

・ 飼養頭数規模別に第2次生産費をみると、規模が拡大するに伴い労働時間が減
 少することから第2次生産費は規模の拡大とともに少なくなっている。

・ 肥育豚1頭当たりの粗収益は、29,686円と前年に比べ2.1%増加し、一方、1頭
 当たりの生産費は減少したことから、1頭当たり所得は、2,823円と前年に比べ89
 8円増加した。


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