牛肉・肉用子牛


前年出回り量、期末在庫(図1、2)−前年をかなり上回る出回り量

 4年9月の推定出回り量(消費量)は、生産量がやや増加し、輸入量もかなり増加
したため7万2千467トンとなり前年同月をかなり上回った(14.0%)。うち輸入品
の推定出回り量は、3万7千32トンと大幅な増加となった(21.0%)。

 9月末の推定期末在庫は、7万5千858トンと前年同月をかなり下回り(▲14.4%)、
うち、輸入品在庫も前年同月をかなり下回っている(▲23.6%)が、輸入牛肉の推
定期末在庫は本年度に入り、引き続きゆるやかな増加傾向にある。


国内生産量(図3)−生産量はやや回復

 9月の生産量は、3万4千270トンと前年をやや上回った(4.7%)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛(6.6%)、めす和牛(15.1%)
とかなり増加したため、全体では4万1千600頭と前年に比べかなり増加した(10.0
%)。一方、乳牛にあっては、乳おす(5.1%)、乳めす(2.4%)ともに増加した
ため、乳牛全体で前年をやや上回り、7万8千400頭(3.8%)となった。


輸入量(図4)−増勢続く輸入牛肉

 9月の輸入量は、3万8千71トンと前月に引き続き前年同月の輸入量を大幅に上回
った(72.5%)。

 その内訳(くず肉・煮沸肉を除く)は、チルド1万8千984トン、フローズン1万8
千780トンで、チルドの割合は50.3%と先月に引き続き5割を上回った。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、10月の輸入見込みは、冷蔵
品及び冷凍品ともに9月並みの水準となり、全体の輸入量は約3万8千トン前後と見
込まれる。


卸売価格(図5、6)−全般的に低水準

 9月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、景気後退感による消費低迷、輸入牛
肉の出回り量の多さなどから悲観材料があるものの、スーパーマーケット等での国
産牛肉見直しの動き等から、1千67円/kgと前月を上回って推移し、10月の速報値
では、1千64円/kgとなっている。

 和牛の価格は、高級物にまで消費低迷の影響があらわれ、9月の価格は、去勢和
牛「A−4」2千212円/kg(▲3.3%)、「A−3」1千588円/kg(▲5.1%)と規格
の低いものほど影響が大きくなっている。また10月についても弱含みで推移してい
る。

 乳用種の価格は、9月は、乳おす「B−3」1千62円/kg(▲4.5%)、「B−2」8
11円/kg(▲9.4%)、乳めす「C−1」371円/kg(14.5%)と一部に回復の兆し
はみえるものの、低い水準で推移している。10月の速報値は乳おす「B−3」1千52
円/kg、「B−2」793円/kg、乳めす「C−1」306円/kgとなっている。

 輸入牛肉の価格(国内仲間相場)は、9月は、北米産チルドは、ストリップロイ
ン、リブアイロールがかなり値を下げたのをはじめ全般的に値を下げ、オセアニア
産チルドは総じて保合で推移した。


肉用子牛価格(図7、8)−黒毛和種、乳用種ともやや回復

 黒毛和種の9月の価格(雌雄平均、以下同じ)は、41万2千円/頭と前月に比べや
や値を上げ、10月の速報値でも、41万5千円/頭となっている(図7)。

 乳用種の9月の価格は9万7千円/頭であったが、10月の速報値は10万6千円/頭と
10万円に回復した。

 また、乳用種のヌレ子の9月の価格は、3万8千700円/頭とわずかに値を下げた。
10月(速報値)は、3万9千900円/頭となっている(図8)。

 なお、官報で告示された4年度第2四半期の指定肉用子牛の平均売買価格によると、
「乳用種」については、10万1千200円と合理化目標価格(4年度13万8千円)を下回
り、3年度第1四半期以降6期連続で生産者補給金の交付の対象となった(1頭当たり
6万120円)。

 同じく、「その他の肉専用種」についても、13万9千200円と引き続き合理化目標
価格(4年度18万3千円)を下回っており、2年度第3四半期以降8期連続で生産者補
給金の交付の対象となった(1頭当たり7万420円)。


今月のトピックス −スーパーでの乳用種の見直しとチルドビーフ

 一部大手スーパーでは、従来の米国産チルドビーフ主体の販売から、乳用種に切
り替えるところが出始めている。この理由として、品質的には輸入牛肉より上回っ
ている乳用種牛肉の価格が下がったことと比較的生産が安定していることから、ス
ーパーで利用されやすくなったためらしい。一方、地方のスーパーでは、テーブル
ミートとして米国産チルドが取り扱われるようになってきた。これは、チルドービ
ーフのシェルライフが改善され、鮮度を落とさずに販売できるようになったためと
いわれている。


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