牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

前年を上回る推定出回り量

 5年5月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品の出回り量が増加し
たことにともない、全体で6万4千947トンと前年をかなり上回った(10.4%、図1)。

 推定期末在庫は、緩やかな減少を続けていたが、ここに来て反転増加傾向にある。
5月連休明けの末端消費は、比較的活発だったものの、輸入量に圧されたことから、
5月末は7万5千453トンと前年同月をかなり上回った(8.0%、図2)。

生産量は前年並み

 4月の生産量は、3万1千716トンと前年並みであった(1.0%、図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、和牛は、去勢和牛、めす和牛とも増加(それぞれ4.
3%、8.1%)し、和牛全体では4万1千200頭と前年をかなり上回った(6.1%)。一
方、乳牛は、乳用肥育おす牛、乳用めす年とも前年並みであった。

輸入量は前年に比べ49.2%の増加

 5月の輸入量は、関税率の10%引き下げや円高の影響で冷蔵品・冷凍品とも増加
したことから、4万5千956トンと大幅に増加した(49.2%、図5)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、6月の輸入見込みは、冷蔵
品2万5千トン、冷凍品2万4千トン、合計約4万9千トン前後と5月を上回ると見込ま
れ、また、7月については、6月よりもやや減るものと見込まれる。

卸売価格は依然として低水準

 5月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、984円/sと前年とほぼ同水準にまで
持ち直したものの、6月の速報値では、933円/sと前年をかなり下回っている(▲
7.1%、図6)。

 5月から6月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、スーパー等でのセ
ールにより、5月末まではオセアニア産チルドを中心に全般的に強含みで推移して
きたが、6月に入るとともに総じて弱含みとなった。

 一方、去勢和牛「A-5」、「A-4」の価格は、5月に引き続き6月も前年を下回る水
準になっている。

 乳用種の価格も、一部スーパー等で輸入牛肉から国産牛肉へシフトしたことから、
乳おす「B-2」が前年をわずかに上回る水準(2.8%)となったが、6月の速報値は
いずれも前年を下回る水準になっている。


〔肉用子牛〕

黒毛和種・乳用種とも再び下落、ヌレ子はかなり回復

 黒毛和種の5月の価格(雌雄平均、以下同じ。)は、33万円/頭と前月とほぼ同
じであるが、6月の速報値(7月12日現在。以下この項で同じ。)では、30万7千円
/頭でやや値を下げている(図7)。

 乳用種の5月の価格は、9万1千円/と前月に比べやや値を回復したものの、6月の
速報値では、8万6千円/頭とかなり値を下げている。

 また、乳用種のヌレ子の5月の価格は、5万9千円/頭と前月に比べてかなり大き
く値を上げ、6月の速報値では、さらに、6万3千円/頭とかなり値を上げている
(図8)。

今月のトピックス
輸入牛肉に荷もたれ感

 4月62,559トン、5月45,956トンといずれも当月過去最高を示した輸入牛肉に供給過剰感が出始めている。事業団調べの仲間相場(6月15日現在)でも、この時期活発な需要を示す焼き肉用の北米産ショートリブ(冷凍・ボンレス)で2,186円/s(5月15日との較差:▲81円)、牛どん・宅配弁当用のバラ系も北米産ショートプレート(冷凍)で536円/s(5月15日との較差:27円)と軒並み値下げしている。7月に入っても相場に活気はなく、盛夏の中で、ジュージュー音をたてて食べる焼き肉日和が待たれるところである。
 先月号のこの欄で「S/P」と標記して示した輸入数量は、正確には「米国産・冷凍品・ばら」のことですので、訂正させていただきます。



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