★ 事業団便り


専門調査員による国内現地調査について


 当事業団では、平成元年度から、畜産物の生産及び流通に関する情報・収集業務
の一環として、学識経験者の中から専門調査員を委嘱し、国内の畜産物の生産、加
工、流通等の現地調査を行い、本誌でそのレポートを紹介しています。

 しかし、畜産は対象となる分野が広く、また、情報に対するニーズも多様です。
このため、本年度からは、専門調査員として流通・加工の専門分野などから3名の
方々を加えて9名にするとともに、新たに地域の専門調査員として8名にお願いし、
それぞれの地域で現地に密着した生の情報を収集していただく予定です。

 また、調査に先立ち、去る5月26日に専門調査員にお集まりいただき、本年の調
査テーマ等について検討会を開催しました。その中で、各専門調査員から、現在の
日本の畜産、地域の畜産の動向をどのようにとらえているかについて次のようなお
話がありました。

 その概要を紹介すると、

(1)牛肉の輸入自由化を契機に創意・工夫を重ね、明るい見通しをもった肉用牛
  経営も出てきており、調査ではそういった農家、農村を取り上げて、前向きの
  話題を提供したい。

(2)輸入牛肉の国内流通が現実にどのようになっているのか、調査する必要があ
  る。

   また、粗飼料の流通の現状も調査したい。

(3)和牛の系統保存が崩れだし、全国的に平準化する傾向にあるが、県単位で和
  牛の種を保存する対策をとる必要があるのではないか。

(4)畜産の環境問題が深刻化しているが、環境保全のコストが上がる一方で生産
  物の価格は下がっている。今後、環境保全のコスト負担をどうするか。

(5)土地利用型農業としての畜産に着目し、農地の利用集積、粗飼料対策、林業
  と畜産の補完関係などを取り上げたい。

(6)酪農では、労働力不足の観点からミルキングパーラーの導入、ヘルーパー制
  度等について、レポートしたい。

 今後、この検討会を踏まえて、具体的な調査テーマを決めていくことになります
が、調査の実施に当たっては、事業団職員も専門調査員に同行したいと考えていま
す。訪問する現地の皆様にはいろいろお世話になると思いますが、ご協力のほどよ
ろしくお願い申し上げます。

(参考)
          平成5年度専門調査員
[全 国]
                      (敬称略、五十音順)
氏  名 所    属
赤嶋 昌夫 (財)日本農業研究所研究員
板橋 守邦 北海道女子短期大学教授
梅沢 昌太郎 高千穂商科大学商学部助教授
白石 正彦 東京農業大学農学部助教授
並木 正吉 (財)食料・農業政策研究センター理事長
増井 和夫 (社)全国農業構造改善協会総務部長
松浦 龍雄 (財)新農政研究所理事長
宮崎 昭 京都大学農学部教授
山本 文二郎 (財)農政調査委員会専門調査員
[地 域]
                           (敬称略)
氏  名 所    属 地  域
山本 康貴 帯広畜産大学畜産学部講師 北海道
長谷部 正 東北大学農学部講師 東 北
茅野 甚治郎 宇都宮大学農学部助教授 関 東
小栗 克之 岐阜大学農学部助教授 東海・北陸
嘉田 良平 京都大学農学部助教授 近 畿
小林 一 鳥取大学農学部助教授 中 国
横溝 功 岡山大学農学部助教授 四 国
甲斐 諭 九州大学農学部助教授 九 州



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