牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

前年を大幅に上回る推定出回り量

 5年8月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品の出回り量が依然と
して多く、全体で7万7千65トンと前年を大幅に上回った(17.4%、図1)。

 推定期末在庫は、需要を上回る輸入量の増大により、4月以降増加の一途をたど
ってきたが、8月の輸入量が7月を約8千トン下回ったことから先月末に比べ約700ト
ン減少し、9万908トン(19.6%、図2)となった。うち輸入品が88.4%を占めてい
る。


堅調な和牛のと畜頭数

 8月の牛肉生産量は、3万2千548トンとほぼ前年並みであった(▲0.2%、図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、去勢和牛、めす和牛とも増加(それぞれ7.4%、12.0
%)し、和牛全体では4万4千600頭と前年をかなり上回った(9.6%)。一方、乳牛
は、乳用肥育おす牛は減少(▲5.5%)したが、乳めすが増加(5.2%)したことか
ら7万2千300頭とほぼ前年並であった(▲0.5%)。


牛肉の輸入量は依然高水準

 8月の輸入量は、7月より減ったものの冷蔵品の大幅な増加により、4万3千807ト
ンと高水準が続いている(19.1%、図4及び図5)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、9月の輸入見込みは、冷蔵
品2万5千トン、冷凍品2万1千トン、合計約4万6千トン前後と8月を上回ると見込ま
れ、また、10月については、9月とほぼ同じ程度と見込まれる。


省令価格はやや下回る

 8月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、1,036円/sと前年をわずかに下回っ
た(▲1.5%)。また、他の和牛、乳牛の主要なクラスの価格も、焼き肉商材の取
引を中心としつつも輸入牛肉との競合もあって、取引を活発化させる要因も薄く、
おおむね前年を下回って推移し、特に乳牛の落ち込みが大きかった。9月の省令価
格(速報値、瑕疵のある枝肉を除く)は、1,082円/kgと前年を上回っている(2.9
%、図6)。

 一方、8月から9月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、輸入牛肉の
荷余り感が市況にもあらわれ、北米産のショートプレート(冷凍)が400円前半/
kg、テンダーロイン(冷凍)が1,300円前半/sに続落する等、総体的に弱含み傾
向が続いている。


〔肉用子牛〕

黒毛和種は回復傾向

 8月の黒毛和種の子牛価格(雌雄平均、以下同じ。)は、肥育経営の収益性に改
善のきざしが見え、素牛の導入意欲が強含みに推移したことから32万9千円/頭で
前月よりやや値を上げており、9月の速報値(10月10日現在。以下この項で同じ)
でも、33万4千円と価格を回復してきている(図7)。


軟調に推移する乳用子牛

 8月の乳用種の子牛価格は、8万8千円/頭と前月より価格を下げ、9月の速報値で
も8万3千円と軟調に推移している(図8)。8月の乳用種のヌレ子の価格は、5万6千
円/頭と前月に比べ価格を下げており、昨年秋以降上昇傾向にあった価格は、6月
をピークとして下げ基調となっている。(9月の速報値は5万6千円)(図8)。


今月のトピックス
と畜頭数と枝肉生産量の伸び率のギャップ

 今までと畜頭数と枝肉生産量の伸び率は、ほぼパラレルであったが、ギャップが起こっている。4〜8月でみると、と畜頭数(子牛を除く)の前年同月比は102.1%であるのに対し、同枝肉生産量は100.4%とと畜頭数の伸び率を下回っている。このことは、ときどき見られたものの、5年3月以降続いている。特に目立っているのは、めす和牛(と畜:枝肉=108.3:105.9)及び乳用肥育おす牛(と畜:枝肉=101.6:95.4)である。
 このギャップの発生は、1頭当たりの出荷体重の減少が引き起こしたものだが、今後の推移を注視する必要がある。



元のページに戻る