豚肉


8月の出荷頭数は順調

 5年7月の国内生産量は、7万9千856トンとほぼ前年並みとなった。国内生産量を
季節調整済み値でみると、今年に入り横ばいないしやや増加傾向で推移しており、
生産量の減に歯止めがかかったようだ(図1)。

 農林水産省畜産局によると、8月の肉豚出荷頭数(見込み)は152万3千頭、9月は
158万5千頭と見込んでいる。8月は冷夏の影響で東北地方を中心に豚の発育か順調
で、前年をやや上回ったようだ。なお、9月3日公表になった「肉豚生産出荷予測」
によると、5年度計はほぼ前年並み(99%)を見込んでいる。


デンマークからの輸入が急増

 7月の輸入量は、前年同月とほぼ同じ3万8千643トンであった。

 国別でみると、デンマーク産が現地価格の低下、円高の進行で輸入コストが安く
なったことから急増した(図2)。この結果、現地価格の高騰で輸入量が減少した
台湾産を上回り、国別ではもっとも多くなった。しかしながら、ベーコンなどの材
料になるバラの需要は高いものの、輸入の際に組み合わせるロース、テンダーロイ
ンといった高級部位は需要が伸び悩んでいることもあり、過剰在庫となっているよ
うだ。


膨らむ国産品の在庫

 7月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、ほぼ前年並みの12万2千141ト
ンとなった(▲1.5%)。

 4〜7月期の豚肉の需給動向をみると、国内生産量は前年並み(▲0.3%)、輸入
量は前年を下回っているものの(▲7.7%)、国産品と競合するチルドの輸入量は
高水準である(8.8%)。一方、推定出回り量は、量販店等による輸入牛肉の販売
促進の影響もあり前年を下回っている(▲3.3%)。この結果、7月の推定期末在庫
は前年をかなり上回っている(8.0%)。特に国産品は前年を大幅に上回っており
(52.0%)、季節調整済み値をみても増加傾向で推移している(図3)。


8月は一時安定基準価格割れも

 7月の枝肉卸売価格(東京市場、省令)は、6月に比べ27円/s値を上げ516円/
s(▲10.1%)となった。

 8月(速報値)は、長引く消費不振を反映して、7月に比べ89円/kgも値を下げ42
7円/kg(▲20.0%)となり、一時、安定基準価格(400円/kg)を割ることもあっ
た(図4)。


今月のトピックス
加工用にも輸入チルド

 ある食肉業者によると、従来、ベーコンなどに使われるバラ系は輸入品であればフローズンがほとんどであったが、「歩留まりがよく、規格がしっかりし品質がいい」ことから、最近はチルドも使われているそうである。テーブルミートとして輸入したものの、余ったチルドが生産の好調なベーコンなどの加工用に流れているようだ。



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