−牛乳の小売価格及び牛乳・乳製品等の消費動向調査より−
企画情報部
この調査は、飲用牛乳の消費について、購入価格及び購入方法の実態を定時的に把握し、今後の飲用牛乳の消費拡大等を中心とする対策に資することを目的として、社団法人食品需給研究センターに委託して調査しているもので、今回は加工乳やチーズの消費動向等についても調査を実施しました。以下、その概要を報告します。 |
第1章 調査方法 1.調査対象世帯 調査対象は次の5地区から選定した消費者500世帯 調査地区 世帯数 札 幌地区(市内)100(地区内居住者と、同一町内からは1家庭とする) 東 京地区(都内)100( 〃 ) 名古屋地区(市内)100( 〃 ) 大 阪地区(府内)100( 〃 ) 福 岡地区(市内)100( 〃 ) 計 500 2.調査事項 (1) 牛乳 ア.牛乳(普通牛乳、加工乳(ローファットミルクを含まない)、ローファットミ ルク及びロングライフ牛乳)の小売価格 イ.牛乳の購入方法 ウ.購入する牛乳の種類及び数量 エ.牛乳購入の今後の意向 オ.牛乳を使った料理と使用状況 カ.牛乳消費増加の要因 (2) 加工乳の消費動向 (3) チーズの消費動向 3.調査時期 (1) 牛乳の小売価格実態調査 第1回 平成4年4月13日(月)〜4月19日(日) 第2回 平成4年7月13日(月)〜7月19日(日) 第3回 平成4年10月12日(月)〜10月18日(日) 第4回 平成5年1月11日(月)〜1月17日(日) <延2,000世帯> (2) 牛乳・乳製品の消費動向調査 平成4年10月25日(日)〜11月3日(土) <500世帯> 4.取りまとめ上の約束 (1) 調査対象品目 当調査においては、牛乳等に関する区分等については便宜上、以下のとおりとし た。 ア.普通牛乳は、成分無調整牛乳を含み、ロングライフ牛乳を含まない。 イ.ロングライフ牛乳は、ロングライフタイプの普通牛乳・加工乳を含む。 ウ.加工乳は、普通加工乳の他に濃厚加工乳を含み、ロングライフ、ローファット タイプを含まない。ただし、牛乳・乳製品の消費動向調査においては、加工乳は ローファットミルクを含む。 エ.ローファットミルクは部分脱脂乳、ローファットタイプの加工乳を含む。 オ.普通牛乳、ロングライフ牛乳、加工乳、ローファットミルクを総称して牛乳と する。なお、いずれのものにも乳飲料、乳酸菌飲料等は含まない。 (2) 購入先 購入先は、「家庭配達」、「量販店」、「移動販売車」、「自動販売機」、「集 団購入」、「その他」の6区分となっている。 「家庭配達」は牛乳販売店による宅配。「量販店」はスーパーマーケット、生活 共同組合等の店舗のことである。 「集団購入」とは生協等による共同購入をいう。なお、学校給食牛乳、職場での 飲用等は原則として含まない。 「その他」にはコンビニエンスストア、パン屋等を含む。 (3) その他 価格表示は、消費税込みのものである。 第2章 牛乳の小売価格の実態 1.牛乳の購入状況 ☆普通牛乳が90.2%、1,000ml紙容器が83.4% 全調査期間に普通牛乳を購入した世帯の割合は90.2%であり、1,000ml紙容器を 購入した世帯は83.4%である。また、ローファットミルクを購入した世帯の割合は 14.2%、加工乳(ローファットミルクを含まない)は6.9%、ロングライフ牛乳は 2.2%となっている。 前年度に比べると、普通牛乳及び加工乳の購入世帯数割合は減少、ロングライフ 牛乳とローファットミルクは増加となっている。消費者の健康志向の高まりととも に、ローファットミルクは増加傾向にあり、前年度に比べ2.5ポイント増加してい る(図1)。 2.牛乳の購入方法 ☆「量販店のみ」が59.8% 牛乳の購入方法を購入先別に分類して調査した結果は、「量販店のみ」の購入が 59.8%で最も多く、次いで「その他のみ」が16.6%、「量販店とその他の両方」が 15.2%、「家庭配達のみ」5.2%の順になっている。前年度に比べ「量販店のみ」 の購入割合は増えているが、他の購入方法の割合は減っている(表1)。 表1 牛乳の購入方法別世帯数割合
平成 2年度 |
平成 3年度 |
平成 4年度 |
|
家庭配達のみ | 6.6 | 5.9 | 5.2 |
量販店のみ | 50.9 | 54.8 | 59.8 |
その他のみ | 21.1 | 20.3 | 16.6 |
家庭配達と量販店の両方 | 3.9 | 2.6 | 2.4 |
家庭配達とその他の両方 | 1.0 | 0.8 | 0.3 |
量販店とその他の両方 | 16.3 | 15.3 | 15.2 |
家庭配達と量販店とその他 | 0.2 | 0.3 | 0.5 |
(注)その他とは家庭配達と量販店以外の購入先 3.牛乳の購入数量 ☆1世帯1日当たりの平均購入数量は602ml 調査対象期間の牛乳購入世帯の1世帯1日当たりの平均購入数量は602mlと前年 度に比べ15ml減少している(図2)。 調査時期別にみた購入数量は、夏期の7月 が最も多く633.5ml、冬期の1月が最も少なく582.8mlとなっている。また、牛乳の 種類別構成を全調査期間の平均でみると、普通牛乳が86.1%、ローファットミルク が9.4%、加工乳(ローファットミルクを含まない)3.6%、ロングライフ牛乳が0. 9%となっている(表2)。 表2 牛乳の1世帯1日当たりの購入数量割合
平成 2年度 |
平成 3年度 |
平成 4年度 |
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普通牛乳 | 88.4 | 89.2 | 86.1 |
ロングライフ牛乳 | 2.0 | 0.8 | 0.9 |
加工乳 | 4.2 | 3.2 | 3.6 |
ローファットミルク | 5.4 | 6.8 | 9.4 |
4.牛乳の購入価格 ☆1,000ml換算1本当たりの価格は、普通牛乳209.13円 1,000ml換算1本当たりの牛乳の購入価格(消費税込み)は図3のとおりである。 4年4月〜5年1月までの4回調査の平均価格は、普通牛乳209.13円、ロングライ フ牛乳246.23円、加工乳(ローファットミルクを含まない)331.34円、ローファッ トミルク166.88円となっている(表3)。 表3 牛乳1,000ml換算1本当たりの購入価格の推移 (単位:円/1000ml)
区 分 | H3/4 | H3/7 | H3/10 | H4/1 | 平成 3年度 平均 |
H4/4 | H4/7 | H4/10 | H5/1 | 平成 4年度 平均 |
普通牛乳 | 207.54 | 207.36 | 208.69 | 211.94 | 208.88 | 208.51 | 209.66 | 209.41 | 208.88 | 209.13 |
ロングライフ | 280.05 | 282.11 | 286.95 | 287.13 | 284.06 | 264.23 | 254.93 | 230.77 | 244.68 | 246.23 |
加工牛乳 | 327.16 | 306.44 | 332.83 | 340.69 | 326.78 | 333.28 | 327.47 | 330.42 | 333.54 | 331.34 |
ローファット | 169.70 | 172.95 | 166.66 | 167.04 | 169.09 | 168.21 | 167.27 | 165.06 | 167.65 | 166.88 |
第3章 牛乳・乳製品の消費動向 1.牛乳消費の今後の動向 ☆「減らしたい」と考える人はわずか1% 家庭における牛乳消費の今後の意向については「今のままでよい」が75.2%と大 半を占め、「増やしたい」が19.4%、「今のところ不明」が4.4%、「減らしたい」 が1%となっている。 「今のままでよい」の現状維持派が過半数を占めるが、「増やしたい」意向の人 が2割弱あり、「減らしたい」と考える人は1%にとどまっており、今後の牛乳の 消費になお強い意向があることがうかがえる(表4)。 表4 今後の牛乳の消費動向
平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | |
今のまま | 69.0 | 73.6 | 75.2 |
増やしたい | 27.0 | 20.8 | 19.4 |
減らしたい | 0.8 | 2.0 | 1.0 |
不明 | 3.2 | 3.6 | 4.4 |
2.牛乳の主な購入基準 ☆「日付」を最重視 牛乳を購入するときの基準は「日付」が92.2%で最も多く、次いで「価格」が5 6.6%、「銘柄(ブランド)」が41.2%の順になっており、消費者が新鮮な牛乳に 最も価値を置いていることがうかがえる(図4)。 3.牛乳の料理への使用 ☆全家庭の52.4%が牛乳を料理に使用 調査対象の1週間(10月25日〜10月31日)に、牛乳を料理に使用したかどうかを たずねたところ52.4%の世帯が「使用した」と回答している(図5)。前年の59.8 %に比べかなり下回ったものの、半数以上の世帯で牛乳が料理に使われている。 年代別では、30代の使用割合が61.8%で最も高く、50代が49.5%で最も低くなっ ている。 4.牛乳料理の種類 ☆シチューが代表メニュー 牛乳を使った料理と牛乳の使用量についてたずねた結果は、表5のとおりである。 表5 牛乳料理の種類と牛乳使用量
料 理 名 | 件数割合 | 1回当たり使用量 |
(料理) | % | ml |
1.シチュー | 27.5 | 362.1 |
2.グラタン | 14.8 | 391.3 |
3.コーンスープ以外のスープ | 10.1 | 387.9 |
4.カレー | 9.0 | 153.2 |
5.コーンスープ | 7.1 | 411.1 |
6.クリーム煮 | 4.0 | 380.0 |
7.ハンバーグ | 3.4 | 87.7 |
8.オムレツ(卵焼き) | 3.4 | 80.0 |
9.ホワイトソース | 2.1 | 293.8 |
10.鍋物 | 1.3 | 220.0 |
11.クリームコロッケ | 0.5 | 350.0 |
12.ミルクごはん | − | − |
(菓子類) | ||
1.ホットケーキ | 3.2 | 316.7 |
2.プリン | 1.6 | 503.3 |
3.ホットケーキ以外のケーキ | 1.6 | 231.7 |
4.ゼリー、ムース等 | 0.3 | 800.0 |
5.ヨーグルト | 0.3 | 600.0 |
6.牛乳かん | 0.3 | 100.0 |
料理件数割合の高いものから「シチュー」27.5%、「グラタン」14.8%、「コー ンスープ以外のスープ」10.1%、「カレー」9%、「コーンスープ」7.1%の順に なっている。「シチュー」の件数割合は他の料理の割合を大幅に上回っており、牛 乳料理を代表するメニューとなっている。 また、1回当たりの牛乳の使用量では、 「コーンスープ」の411.1mlが最も多くなっており、次いで「グラタン」391.3ml、 「コーンスープ以外のスープ」387.9ml、「クリーム煮」380ml、「シチュー」362. 1mlと続いている。 菓子類では、どの料理も件数割合は4%未満にとどまっており、「ホットケーキ」、 「プリン」、「ホットケーキ以外のケーキ」が主な料理になっている。 第4章 加工乳の消費動向 1.加工乳(ローファットミルクを含む)購入の有無 ☆加工乳を購入した世帯は約3割 調査対象の1週間(10月25日〜10月31日)に加工乳(ローファットミルクを含む) を購入したどうかをたずねたところ、「購入した」世帯は32.4%となっている(図 6)。また、「ほとんど購入しない」世帯は51.8%となっている。 2.購入した加工乳の種類 ☆「低脂肪乳」の購入が最も多い 購入した加工乳(ローファットミルクを含む)の種類では、「低脂肪乳」の購入 割合が63.6%と最も高く、次いで「高脂肪乳」15.4%、「無脂肪乳」11.7%、「そ の他」8.0%の順になっている。「低脂肪乳」と「無脂肪乳」をあわせると75.3% となり、加工乳の消費はローファットタイプのものが主流となっている(図7)。 年代別では、どの年代でも「低脂肪乳」の購入割合が最も高くなっているが、20 代では「高脂肪乳」の割合が、50代では「無脂肪乳」の割合が他の年代より高くな っているのが注目される。 3.加工乳の主な購入理由 ☆「健康に良いから」がトップ 加工乳(ローファットミルクを含む)を購入した理由は、「健康に良いから」が 44.1%と最も多く、次いで「カロリーが低いから」が37%となっており、この2店 が加工乳購入の主な理由になっている。これらのことから消費者の健康志向が加工 乳購入の要因になっていることがわかる(図8)。 第5章 チーズの消費動向 1.家庭で利用されるナチュラルチーズの種類 ☆「パルメザンチーズ」、「カマンベールチーズ」、「クリームチーズ」の順 家庭で良く利用されるナチュラルチーズは、「パルメザンチーズ」が38.4%と最 も高い割合を占め、次いで「カマンベールチーズ」35%、「クリームチーズ」31.8 %、「ゴーダチーズ」19.8%、「カッテージチーズ」14.4%の順になっている(図 9)。 2.家庭で利用されるプロセスチーズの種類 ☆よく利用されるプロセスチーズは、「スライスタイプ」、「粉末タイプ」、「カ ルトンタイプ」の順 家庭でよく利用されるプロセスチーズは、「スライスタイプ」が64.6%と最も高 い割合を占めており、次いで「粉末タイプ」32.2%、「カルトンタイプ」29.8%、 「ポーションタイプ」29%、「スティックタイプ」22.4%の順になっている(図10)。 3.チーズを食べる頻度 ☆週1回以上が過半数を占める チーズを食べるのは「週2〜3回位」が31.8%で最も多く、次いで「週1回位」 が24%、「月に数回」が20.2%とともに20%台となっており、他は10%未満となっ ている。また、「毎日」、「週2〜3回位」、「週1回」をあわせると64.8%とな り、週1回以上チーズを食べている世帯数が過半数を占めている(表6)。 表6 チーズを食べる頻度 (単位:世帯、%)
毎日 | 週2〜3 回位 |
週1回位 | 月に数回 | それ以下 | ほとんど 食べない |
N.A. | |
合計 | 9.0 | 31.8 | 24.0 | 20.2 | 7.8 | 6.4 | 0.8 |
4.チーズの食べ方 ☆「パン食用」、「料理」、「おつまみ」がともに40%以上 チーズの食べ方では「パン食用」が49.6%で最も多く、次いで「料理に使う」4 4.2%、「おつまみ用」43.2%となっており、この3つがチーズの主な食べ方とな っている。また、「ピザ用」も24.2%と20%台となっているが、「ケーキ用」はわ ずか3.4%にとどまっている(表7)。 表7 チーズの食べ方 (単位:世帯、%)
料理に 使う |
ケーキ用 | ピザ用 | パン食用 | おつまみ 用 |
その他 | N.A. | |
合計 | 44.2 | 3.4 | 24.2 | 49.6 | 43.2 | 5.8 | 4.4 |
(注) ○印2つまでの複数回答