牛肉・肉用子牛


〔牛  肉〕

増加が続く推定期末在庫

 5年7月の推定出回り量(消費量、部分肉ベース)は、輸入品の出回り量が増加し、
全体で8万272トンと前年をやや上回った(4.6%、図1)。

 推定期末在庫は、需要を上回る輸入量の増大により、4月以降増加の一途をたど
り、7月末で9万1千621トン(26.8%、図2)となっており、うち輸入品が87.6%を
占めるに至っている。


和牛生産量は堅調

 7月の牛肉生産量は、3万5千512トンとほぼ前年並みであった(▲1.6%、図3)。

 種類別のと畜頭数を見ると、去勢和牛、めす和牛とも増加(それぞれ2.8%、7.5
%)し、和牛全体では4万9千900頭と前年をかなり上回った(5.1%)。一方、乳牛
は、乳用肥育おす牛でかなり減少したことにともない7万4千300頭と前年を下回っ
た(▲4.6%)。


牛肉の輸入量は依然高水準

 7月の輸入量は、冷蔵品の大幅な増加等から、5万1千762トンと高水準となった
(29.2%、図4及び図5)。

 事業団が36商社から聞き取った独自の調査によると、8月の輸入見込みは、冷蔵
品2万4千トン、冷凍品1万9千トン、合計約4万3千トン前後と7月を下回ると見込ま
れ、また、9月については、8月よりも下回るものと見込まれる。


省令価格はやや回復

 7月の省令価格(東京市場、以下同じ)は、1,063円/sと前年をやや上回った
(3.7%)ものの、8月の速報値では、1,054円/kgと前年並みになっている(0.2%、
図6)。

 7月から8月上期にかけての輸入牛肉価格(国内仲間相場)は、輸入牛肉の荷余り
感が市況にもあらわれ、北米産のテンダーロイン(冷凍)が1,900円/kg前後に下
落する等、総体的に弱含み傾向が鮮明になっている。

 一方、国内産については、乳牛を中心に焼き肉商材の取引が活発になる時期であ
り、Jビーフキャンペーンも7月いっぱい実施されたが、長引く天候不順や輸入牛
肉との競合もあって、東京市場の場合、乳メスの「B-3」、「B-2」クラスは、前年
を上回ったものの、乳オスは前年を下回って推移した。和牛については、去勢和牛
の一部のクラスで前年並みで推移したもののそのほかは軟調で推移した。


〔肉用子牛〕

黒毛和種は回復傾向

 7月の黒毛和種の子牛価格(雌雄平均、以下同じ。)は、31万4千円/頭で前月よ
りわずかに値を上げており、8月の速報値(9月10日現在。以下この項で同じ)でも、
32万4千円と価格を回復してきている(図7)。


ほぼ横ばいの乳用子牛

 7月の乳用種の子牛価格は、9万円/頭と前月より価格を上げたが、8月の速報値
では8万8千円とほぼ横ばいで推移している(図8)。7月の乳用種のヌレ子の価格は、
6万円/頭と前月に比べわずかに価格を下げているものの緩やかな上げ基調にある
(図8)。8月の速報値では5万6千円。ヌレ子価格は地域格差が大きく、北海道が7
万円前後/頭の価格になっているが、岡山では3万円半ば/頭(7月)となっている。


今月のトピックス
輸入牛肉取扱いを増やす意向にあるスーパー

 農林中央金庫がスーパーマーケット(約150社)の経営動向等をとりまとめた「スーパーの経営動向調査」によると、輸入牛肉の取扱いが「かなり増加している」との回答が52.4%を占めており、「やや増加している」を併せると87.8%に達している。また、今後の方針でも、「積極的に増やす」と「他社や消費者の反応を見ながら徐々に増やす」を併せると86.3%を占めるに至っている。
 消費者ニーズに沿った経営方針の現れなのであろうが、多くのスーパーが今後、輸入牛肉の取扱い量を増やす方針であることが注目される。



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