社員食堂における食肉需要の実態(その2)

−食肉消費構成実態調査事業報告書より−
(食肉生産流通部)


 前回は、社員食堂の概要と、そこでの牛肉の仕入状況等について報告しましたが、
今回は豚肉及び鶏肉の仕入状況等についての調査結果を報告します。

第5章 社員食堂における豚肉及び鶏肉の仕入状況等

1 仕入状況

 豚肉を仕入れているのは、社員食堂を設置している906社のうち、823社(90.8%)
であった。

 1日あたり平均提供食数の規模別に仕入状況をみると、牛肉の場合と同じように、
提供食数が多い社員食堂ほど豚肉を仕入れている比率が高い。すなわち、1日50食
未満の社員食堂で豚肉を仕入れているのは66.7%であるのに対して、300〜400食規
模になるとその比率は92.2%に高まり、2,000食以上になると豚肉の仕入率は100%
となる。

 年間仕入量を回答した541社について、より具体的にみると表7のとおりである。

 一方、鶏肉を仕入れているのは、社員食堂を設置している906社のうち、827社
(91.3%)であり、仕入比率は豚肉(90.8%)以上に高い。

 1日あたり平均提供食数の規模別に仕入状況をみると、牛肉や豚肉でみたのと同
じように、提供食数が多い社員食堂ほど鶏肉を仕入れている比率が高く、1日50食
未満の社員食堂で鶏肉を仕入れているのは55.6%であるのに対して、300〜400食規
模になるとその比率は93.0%になり、1,000食以上の食堂では仕入率100%となる。

 年間仕入量を回答した512社について、より具体的にみると表7のとおりである。

表7 種類別企業数、仕入数量
区分 牛  肉 豚  肉 鶏  肉
母 数
平均数量
kg
母 数
平均数量
kg
母 数
平均数量
kg
国産 303 407.3 528 1,765.1 500 1,488.0
輸入 401 498.9 247 1,366.6 262 1,240.4
不明 123 356.1 144 1,574.2 119 1,057.9
507 552.2 541 1,574.2 512 1,648.8
2 輸入品の仕入量に対する比率(輸入品比率)

 豚肉を仕入れている社員食堂のうち、仕入量に占める輸入品の比率を求めること
ができた178社についてその分布をみると、「100%」(すべて輸入豚肉を仕入れて
いる)の社員食堂が63社で全体の35.4%を占めている。次いで「50〜60%未満」
(11.2%)、「20〜30%未満」(9.0%)、「40〜50%未満」(9.0%)、「10〜20
%未満」(7.9%)の順となっている。輸入品比率は各社まちまちである。

 次いで鶏肉を仕入れている社員食堂のうち、仕入量に占める輸入品の比率を求め
ることができた190社についてその分布をみると、「100%」(すべて輸入鶏肉を仕
入れている)の社員食堂が99社で全体の52.1%を占めている。次いで「50〜60%未
満」(8.9%)、「20〜30%未満」(6.8%)、「30〜40%未満」(5.8%)の順と
なっている。牛肉のように全体の4分の3にあたる社員食堂が80%以上の輸入品比
率をもっているといった状況はみられない。


3 豚肉の仕入量の増減と輸入比率の上昇・低下の関係

 3年前(平成元年)に比べて、豚肉の仕入量が増えたか否かについての問いに回
答した519社のうち、「10%以上の増加」は67社(12.9%)、「10%未満の増加」
126社(24.3%)で、増加店比率は37.2%であった。

 豚肉仕入量が増加している193社のうち無回答の25社を除いた168社について、最
近の輸入比率の変化との関係をみると、輸入比率が「上昇している」とする食堂が
113社(67.3%)で最も多い。牛肉の場合は輸入比率が低下する中での仕入量増加
が1つの傾向であったのに対して、豚肉の場合は輸入比率が高まる中で(輸入豚肉
の使用が増加する中で)豚肉仕入量が増加する食堂が多い。輸入比率が低下する中
で豚肉仕入量が増えている食堂は3.0%にとどまる。

 また、豚肉仕入量が3年前に比べて変化していないという262社についてみると、
輸入比率は「変化していない」とする食堂が225社(85.9%)と最も多くなってい
る。このことからみても、輸入豚肉は、豚肉仕入量が増えている食堂に特に多く、
その他の食堂は豚肉については特段顕著な荷動きはないといえる(表8)。

表8 仕入量変化と輸入比率変化との関係(豚肉)
                (単位:社、%)
   輸入比率の変化
全体 上昇 変化なし 低下
仕入量の変化 全体 67
(100.0)
150
(32.1)
291
(62.3)
26
( 5.6)
増加 168
(100.0)
113
(67.3)
50
(29.8)
5
( 3.0)
変化なし 262
(100.0)
27
(10.3)
225
(85.9)
10
( 3.8)
減少 37
(100.0)
10
(27.0)
16
(43.2)
11
(29.7)
4 豚肉の輸入品比率の水準と輸入品比率の上昇・低下との関係

 輸入比率の水準と輸入品の増減との関係をみることができる170社について数量
ベースをみると、最近輸入品が「増加している」とする企業が52.9%、「変化なし」
が42.4%、「減少している」が4.7%であった。輸入豚肉の仕入量が増えている企
業が半数以上あるのに対して、減少している企業がわずかであり、減少している給
食会社が多い輸入牛肉と対照的である。

 これを輸入比率の水準別にその傾向をみると、@輸入比率が比較的低い(40%未
満)給食企業では、「輸入品が増加した」とする企業と「変化なし」とする企業が
いずれも48.7%と拮抗したかたちとなっており、これに対して、A輸入比率が中位
(40〜70%未満)の給食企業では、「増加した」とするところが61.9%と最も多く
なっている。B輸入比率が比較的高い(70%以上)給食企業では「増加した」とす
るところが50.6%であり、次いで「変化なし」とする企業が42.7%である。輸入比
率の中位なところで増々輸入品が伸びており、輸入比率の高いところでは現状維持
(輸入品中心の仕入れ)の状態が続いていることがわかる(表9)。

表9 輸入品の増減と輸入比率水準との関係(豚肉・数量)
                (単位:社、%)
   輸入品の増減
全体 増加 変化なし 減少
輸入比率 全体 170
(100.0)
90
(52.9)
72
(42.4)
8
(4.7)
40%未満 39
(100.0)
19
(48.7)
19
(48.7)
1
(2.6)
40〜70%
未満
42
(100.0)
26
(61.9)
15
(35.7)
1
(2.4)
70〜100% 89
(100.0)
45
(50.6)
38
(42.7)
6
(6.7)
5 豚肉の部位別仕入状況

 平成3年に豚肉を仕入れた給食企業のうち、部位別仕入状況がわかる684社につ
いて部位別仕入状況をみると、まず国産豚肉は、684社で仕入れた仕入総量は916,2
15sであり、1社あたり仕入量は1,339.5s/年であった。

 このうち最も仕入量が多い部位は「ばら」で、年間仕入量266,775sは国産豚肉
仕入量全体の29.1%にあたる。次いで多いのは「かたロース」、「かた」の順とな
っている(表10)。

表10 最近1年間における国産豚肉部位別仕入状況(回答企業合計値)
部 位 仕  入  量
仕入量
(kg)
構成比
(%)
1社あたり
仕入量/年(kg)
か た 141,413 15.4 206.7
かたロース 176,726 19.3 258.4
ロース・ヒレ 128,556 14.0 187.9
ば ら 266,775 29.1 390.0
も も 132,803 14.5 194.2
その他 69,942 7.6 102.3
合 計 916,215 100.0 1,339.5
 次に輸入豚肉についての部位別仕入状況が分かる387社について、仕入総量をみ
ると228,832sであり、1社あたりの仕入量は591.3sであった。この結果、国産豚
肉、輸入豚肉をあわせた豚肉全体の仕入量は1,145,047s(国産豚肉80.0%、輸入
豚肉20.0%)、1社あたり年間仕入量は1,930.8sとなった。

 輸入豚肉の中で最も仕入量が多い部位は「ばら」で、仕入量68,346sは輸入豚肉
仕入量全体の29.9%にあたる。次いで多いのは、「かたロース」、「ロース・ヒレ」
の順となっている(表11)。

表11 最近1年間における輸入豚肉部位別仕入状況(回答企業合計値)
部 位 仕  入  量
仕入量
(kg)
構成比
(%)
1社あたり
仕入量/年(kg)
か た 14,411 6.3 37.2
かたロース 61,710 27.0 159.5
ロース・ヒレ 42,130 18.4 108.9
ば ら 68,346 29.9 176.6
も も 27,894 12.2 72.1
その他 14,341 6.3 37.1
合 計 228,832 100.0 591.3
第6章 食肉類に対する今後の取り組み方針

1 メニュー数についての意向

 今後、豚肉を使ったメニューに対してどのように取り組んでいくかをみると、
「従来通り」が68.1%で最も多く、次いで「少し増やす」(16.9%)、「少し減ら
す」(5.5%)、「増やす」(4.0%)であった。増やす方向を考えている給食企業
は全体の20.9%、減らす方向を考えているのは6.5%であった(表12)。

表12 1日あたり平均提供食数規模別、今後の豚肉メニューへの取り組み意向
                        (単位:社、%)
   合計 増やす 少し
増やす
従来通り 少し
減らす
減らす 無回答
全体 906
100.0
36
4.0
153
16.9
617
68.1
50
5.5
9
1.0
41
4.5
50食未満 9
100.0


8
88.9


1
11.1
50〜
100食未満
30
100.0
2
6.7
2
6.7
22
73.3

1
3.3
3
10.0
100〜
200食未満
137
100.0
5
3.6
21
15.3
98
71.5
7
5.1
1
0.7
5
3.6
200〜
300食未満
169
100.0
7
4.1
34
20.1
114
67.5
5
3.0

9
5.3
300〜
400食未満
115
100.0
2
1.7
16
13.9
82
71.3
8
7.0
4
3.5
3
2.6
400〜
500食未満
98
100.0
2
2.0
15
15.3
70
71.4
5
5.1
 
6
6.1
500〜
1000食未満
184
100.0
11
6.0
34
18.5
120
65.2
11
6.0
2
1.1
6
3.3
1000〜
2000食未満
96
100.0
3
3.1
21
21.9
62
64.6
9
9.4

1
1.0
2000〜
3000食未満
29
100.0
2
6.9
6
20.7
19
65.5
2
6.9


3000食以上 22
100.0
1
4.5
3
13.6
15
68.2
2
9.1
1
4.5

無回答 17
100.0
1
5.9
1
5.9
7
41.2
1
5.9

7
41.2
 今後、鶏肉を使ったメニューに対してどのように取り組んでいくかをみると、
「従来通り」が68.0%で最も多く、次いで「少し増やす」(18.3%)、「増やす」
(44%)であった。増やす方向を考えている給食企業は全体の22.7%である。

 これを1日あたりの平均提供食数規模別にみると、増やす方向で考えている給食
企業の比率(「増やす」+「少し増やす」)が最も高いのは牛肉の場合と同じよう
に「1000〜2000食未満」(28.2%)の給食企業である。次いで「2000〜3000食未満」
(27.6%)、「3000食以上」(27.2%)、「200〜300食未満」(23.6%)の順であ
った。牛肉や豚肉と同じように、比較的提供食数が多い給食企業において鶏肉メニ
ューを増やしたいとの意向をもつところが多い(表13)。

表13 1日あたり平均提供食数規模別、今後の鶏肉メニューへの取り組み意向
                       (単位:社、%)
   合計 増やす 少し
増やす
従来通り 少し
減らす
減らす 無回答
全体 906
100.0
40
4.4
166
18.3
616
68.0
38
4.2
2
0.2
44
4.9
50食未満 9
100.0

1
11.1
7
77.8


1
11.1
50〜
100食未満
30
100.0
1
3.3
1
3.3
25
83.3
1
3.3

2
6.7
100〜
200食未満
137
100.0
5
3.6
25
18.2
95
69.3
7
5.1

5
3.6
200〜
300食未満
169
100.0
8
4.7
32
18.9
111
65.7
7
4.1

11
6.5
300〜
400食未満
115
100.0
5
4.3
21
18.3
81
70.4
4
3.5
1
0.9
3
2.6
400〜
500食未満
98
100.0
4
4.1
15
15.3
70
71.4
3
3.1

6
6.1
500〜
1000食未満
184
100.0
9
4.9
33
17.9
127
69.0
8
4.3

7
3.8
1000〜
2000食未満
96
100.0
4
4.2
23
24.0
61
63.5
6
6.3
1
1.0
1
1.0
2000〜
3000食未満
29
100.0
2
6.9
6
20.7
21
72.4



3000食以上 29
100.0
1
4.5
5
22.7
15
68.2
1
4.5


無回答 17
100.0
1
5.9
4
23.5
3
17.6
1
5.9

8
47.1
2 食肉仕入量に対する将来見通し

 今後、豚肉仕入量が増えるとみている給食企業は34.7%であり、牛肉や鶏肉に比
べてその比率は低率であった。そのうち、「かなり増える」とみている企業は1.9
%にとどまる。

 これを年間仕入数量規模の大きさからみると、増えるとみている企業(「かなり
増える」+「少し増える」)の比率が最も高いのは、現在豚肉を年間にして「700
s以上」仕入れている企業であった(36.3%)。次いで多いのは「300s未満」(3
2.9%)、「400〜500s」未満」(32.4%)、「600〜700s未満」(29.0%)、な
どである。牛肉の場合は牛肉仕入規模が中位以上の給食企業において牛肉仕入量が
増えるという企業比率が高めとなっていたが、豚肉の場合は、現在の豚肉仕入規模
の大小にさほど関係なく、将来の豚肉に対する意向が形成されている(表14)。

表14 年間仕入数量規模別、今後の仕入意向別企業数(豚肉)
                         (単位:社、%)
   合計 かなり増える 少し
増える
変化
なし
少し
減る
かなり減る 無回答
全体 906
100.0
17
1.9
297
32.8
447
49.3
96
10.6
6
0.7
43
4.7
年間仕入数量規模 300kg未満 82
100.0
2
2.4
25
30.5
48
58.5
6
7.3

1
1.2
300〜
400kg未満
33
100.0

9
27.3
16
48.5
7
21.2

1
3.0
400〜
500kg未満
34
100.0
2
5.9
9
26.5
16
47.1
5
14.7
2
5.9

500〜
600kg未満
38
100.0

11
28.9
21
55.3
6
15.8


600〜
700kg未満
31
100.0
1
3.2
8
25.8
16
51.6
5
16.1

1
3.2
700kg以上 347
100.0
5
1.4
121
34.9
178
51.3
32
9.2
4
1.2
7
2.0
無回答 258
100.0
7
2.7
101
39.1
115
44.6
27
10.5

8
3.1
 今後、鶏肉仕入量が増えるとみている給食企業は35.1%であり、その比率は牛肉
に比べてかなり低く、豚肉に比べてやや上回っていた。そのうち「かなり増える」
とみている企業は29%であった。

 これを年間仕入数量規模の大きさからみると、増えるとみている企業(「かなり
増える」+「少し増える」)の比率が最も高いのは現在鶏肉を年間にして「700s
以上」仕入れている企業であった(36.6%)。次いで多いのは「300s未満」(36.
4%)、「300〜400s未満」(36.1%)、「400〜500s未満」(33.3%)などであ
る。鶏肉の場合は、どちらかといえば現在の鶏肉仕入規模が小さな給食企業におい
て、「今後増やしたい」とする企業比率が高くなっており、牛肉、豚肉とは異なる
傾向にある(表15)。

表15 年間仕入数量規模別、今後の仕入意向別企業数(鶏肉)
                         (単位:社、%)
   合計 かなり増える 少し
増える
変化
なし
少し
減る
かなり減る 無回答
全体 906
100.0
26
2.9
292
32.2
454
50.1
85
9.4
4
0.4
45
5.0
年間仕入数量規模 300kg未満 129
100.0
3
2.3
44
34.1
71
55.0
8
6.2
1
0.8
2
1.6
300〜
400kg未満
47
100.0
1
2.1
16
34.0
23
48.9
5
10.6

2
4.3
400〜
500kg未満
27
100.0

9
33.3
15
55.6
2
7.4

1
3.7
500〜
600kg未満
38
100.0

10
26.3
19
50.0
8
21.1
1
2.6

600〜
700kg未満
13
100.0

3
23.1
10
76.9



700kg以上 289
100.0
3
1.0
103
35.6
145
50.2
30
10.4
1
0.3
7
2.4
無回答 254
100.0
16
5.6
97
34.2
135
47.5
27
9.5
1
0.4
8
2.8



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