◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  地域ぐるみで受精卵移植に取り組む

 

(宮崎県 矢野光紘)
  宮崎県串間市では、 牛肉輸入自由化対策として2年度より地域ぐるみで乳
用牛への黒毛和種の受精卵移植に取組み、 肉用牛の生産拡大を図っている。
市、 農協、 共済組合、 肉用牛関係団体等で 「串間市新生産技術推進協議会」
を組織し、 農業共済組合獣医師と酪農組合の技術員で移植チームを編成す
ることにより、 年間約60頭の移植を行っている。 
 
  当初の受胎率は26%と低かったが、 農家に対する飼養管理技術指導や家
畜人工受精師の技術向上等により、 4年度には、 61%と向上してきた。 
 
  生産された子牛は、 ほとんど子牛市場に出荷されている。 酪農家におけ
る哺育・育成技術等の未熟さもあるが、 今のところ和牛生産農家で生産し
た和牛子牛と価格に大差はないようである。 受精卵移植に要する経費を考
慮しても、 乳子牛生産よりは有利で、 酪農の経営安定に貢献している。 
 
  今後は、 肉用牛生産農家との連携を深めつつ、 地域内の優良雌牛を利用
して採卵と受精卵移植を行い、 優良牛の生産及び種雄牛造成に活用してい
くこととしている。 
  
 

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