★ 事業団便り


日本の酪農(生産編)のビデオ撮影順調に進む!


 事業団では、 6年度製作予定のビデオ 「日本の酪農〜生産編〜」 の作成の
ために北海道十勝平野で現地撮影を行いました。 その様子を併せてレポート
します。  
順番待ちする牛
  防風林に囲まれた放牧地の中で数十頭の牛たちが草をはんでいます。 本州
 ではまず見られない牧歌的な光景です。 じめじめとうっとうしい梅雨が日本
 各地で続く6月中旬、 北海道十勝平野では、 ぬけるような青空が広がってい
 ました。 
 
  十勝地方は、 北海道の中でも広大な土地と恵まれた自然条件を利用した大
 規模な酪農が盛んなところです。 我々は、 北海道の酪農風景を撮影するため
 に、 上川郡清水町で130頭余りの乳牛を飼育する井沢牧場を訪ねました。 
  
   牧場の朝は早い。 午前5時を過ぎれば、 搾乳作業が始まります。 井沢牧場
 では、 早くからフリーストール・ミルキングパーラー方式を取り入れ、 作業
 の効率化を図ってきました。 パーラーの入り口近くでは、 数十頭の牛がまる
 でバスを待っている人々のようにおとなしく順番待ちしています。 中には、 
 搾乳されるまで待てないかのように大きく張った乳房から、 ポタリ、 ポタリ
 と乳を滴らせているものもいます。 
 
   搾乳は2人で1度に6頭ずつ行われます。 搾乳を終えた牛が出ていくと、 
 次の牛は順番を覚えていて、 自分から搾乳場へと入っていくのです。 搾られ
 た生乳は、 バルククーラーに集められ、 検査されたのち、 集乳車で運ばれま
 す。 
刈り取りに絶好の天気
   搾乳と給餌風景を撮影した後で、 牧草の刈り取り現場に向かいました。 牧
 草地には、 春まきのチモシーが緑の絨毯を織りなしています。 井沢牧場の草
 地は全部で60ha。 その内の5haを放牧に使い、 残りの55haを採草地として使
 用しています。 まずモア (草刈り機) が、 牧草をなぎ倒すように進む後に続
 いて、 ハーベスターが牧草を細かく粉砕しながら、 ワゴンに積み込んでいま
 す。 
 
   日中は太陽が照りつけ、 道路には陽炎がゆらいでいます。 とにかく暑いの
 です。 まさに刈り取りにふさわしい天気です。 今は、 牧草の刈り取りの最盛
 期であり、 あちこちの牧場で同じような風景が見られました。 
 
   続いて、 放牧風景の撮影。 牛は、 搾乳牛、 育成牛などに分けて、 放牧され
 ています。 その中でも首輪のようなものをつけている牛が目につきます。 こ
 れはマグネット給餌と呼ばれるシステムの一環で、 乳量の多い牛 (25s/日
 以上) に磁気性の首輪をつけて個々のデータをコンピューター管理し、 決め
 られた量の濃厚飼料を与えるものです。 
 
   夕方になり、 牧場の人が手をたたきながら牛を呼びに来ました。 すると、 
 今までのんびりと草を食べていた牛たちが、 ゆっくりと牛舎の方へ向かって
 動き出します。 餌と搾乳の時間を牛はちゃんと覚えているのです。 
 
   ふと気がつくと、 あんなに強かった日差しに代わって、 冷たい風が吹き始
 めていました。 北海道では、 この時期、 昼と夜の気温の差が激しいのです。 
 明日は、 早朝から日の出の撮影が待っています。 長かった一日を思い返しな
 がら、 牧場を後にしました。 

 

 
 

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