★ 事業団便り


第8回ジャパン・チキンクッキングコンテンスト全国大会


 社団法人日本食鳥協会が主催する第8回ジャパン・チキンクッキングコンテン
スト全国大会は、2月25日に服部栄養専門学校(渋谷区千駄ヶ谷)で開催されま
した。 このコンテストは1987年から毎年1回、オリジナル鶏肉料理のアイデア
を募集して行われています。第8回を迎えた今回は特にむね肉の消費拡大と調理
法の普及を目的として募集したところ、全国から3,220通の作品が寄せられまし
た。その中から書類審査を経て、全国5地区の大会から優秀賞に選出された18名
が全国大会で料理の腕を競い合うことになりました。

 開会式では、(社)日本食鳥協会の清水昌夫会長から「比較的価格が安く、高蛋
白質、低脂肪、低カロリーでヘルシーさが人気のむね肉をぜひ皆さんにお使いい
ただきたいと思います。全国大会ともなると、どうしても緊張する面もあるとは
思いますが、平常心で日頃の実力を発揮して下さい」と激励があり、コンテスト
が開幕しました。


緊張みなぎるコンテスト会場

 合図と共に、18名の出場者は真剣な面もちで料理にとりかかります。材料が並
べられた調理台のあちこちから包丁のリズミカルな音が聞こえてきます。この段
階ではどのような料理ができあがるのか、それぞれの調理場に置いてあるレシピ
を見て見当をつけるしかありません。審査員が片手にボードを持ちながら、一人
一人丹念に見ていきます。審査員の質問に笑顔で応えながらも出場者の方たちの
手は休む間もなく動いています。制限時間内に手際よく作り上げなければなりま
せんから、集中力が大切です。時間がたつにつれていい匂いが漂ってきました。
焼酎を使った参加者の調理台では、「おっ、焼酎か。いいねぇ」という来賓の方
たちの嬉しそうな声も聞こえてきます。

 ラスト30分を告げるアナウンスが入ると、皆追い込みに入ります。会場の前に
用意された台には続々と試食用と盛りつけ用の作品が並べられ、審査員が早速、
味や見栄えなどを採点します。遅れ気味の人も決してあわてず、冷静に盛りつけ
をしています。コンテスト終了の合図が出る頃には、試食用の作品のほとんどの
お皿が空になってしまいました。どれも甲乙つけ難く、審査は大変難しいように
思われます。果たしてどの作品がグランプリに選ばれるのでしょうか。

 さて、作品の調理が終了して、ランチパーティとなりました。緊張もとけてほ
っと一安心の出場者の方同士で話が弾んでいる姿が見られます。前回優勝者の渡
辺静江さん(作品:チキン・まるまるおから!! 秋田県)が副賞で行ったアメ
リカ旅行の報告もありました。


グランプリは“北国が香る鶏の農園風”

 そうこうするうちに審査結果の発表です。グランプリには北海道の北野恵子さ
んの作品でとうもろこしを使った“北国が香る鶏の農園風”が選ばれました。北
野さんは秋になると公園で山積みにされて売られているとうもろこしを見て、何
とか活かせないかと考えてこの作品を思いついたそうです。苦労した点は、むね
肉の上にのせる焼きとうもろこしを薄く削るのが難しく、10本くらい使って練習
したということです。和風より香辛料を使った料理が好きだというだけあって、
鶏肉とカレーと香ばしい焼きとうもろこしがうまく活かされています。北野さん
は出場ナンバー、年齢とも1番で、賞も1番とうれしい1番続きとなりました。

 また、出場最年少の16歳の高校生、西澤希代子さん(作品:チキンで作ったブ
ッシュ・ド・ノエル)が、ブッシュ・ド・ノエルというクリスマスのお菓子を鶏
肉を使ってうまく表現して審査員特別賞を受賞しました。

 服部審査委員長の講評は「審査基準は、手軽さ、独創性、むね肉の特徴を活か
しているかどうか、見栄え、味の5項目に加えて料理の段取りなどを総合的に審
査させていただきました。さすがにここまで来られたというだけのことはあるな
という内容の方ばかりで、我々も口角泡を飛ばして、選ぶのに本当に困ったなと
いう感じでした」とのことで、それぞれの作品ともその差はほんのわずかの激戦
であったようです。


作品を生み出す創意工夫

 今回のコンテストでは鶏肉とバナナを組み合わせたものや一口サイズの作品な
ど、おやつや、おつまみになるようなどちらかといえば主食より副食としての料
理が多かったように思います。それにしてもオリジナリティあふれる作品を考え
出す皆さんの努力には目を見張るものがありました。個性あるおいしい料理を作
り出すには常日頃から、これは料理に使えるのではないかと、創意工夫を心掛け
ることが必要だと思います。また、来年もさらに工夫を凝らした鶏肉料理がたく
さん出てくるのをとても楽しみにしています。

(企画情報部 富澤由記子)

(参考)

入賞作品  

○ 農林水産大臣賞
 「北国が香る鶏の農園風」 北野恵子(北海道)
○ 畜産局長賞
 「うっとりめん」 高崎洋子(岐阜県)
○ 畜産振興事業団理事長賞
 「キャベツとわかめのチキン巻」 木村三代子(茨城県)
○ (社)日本食鳥協会会長賞 
 「駿河蒸し」 佐地美智子(静岡県)
○ 審査員特別賞
 「チキンで作ったブッシュ・ド・ノエル」 西澤希代子(滋賀県)
○ コック・ドゥードゥルドゥ賞 
 「ハイチュー鶏」 田中達子(鹿児島県)
○ ゴールデン・スピリッツ賞 
 「モンキー・チキン」 深澤千秋(静岡県)


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