◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

  繁殖牛に1日1回の給餌

                                                          (宮崎県 水野 和幸)

 


 肉用牛繁殖経営が多い宮崎県野尻 (のじり) 町では、 飼料給与を夕方の1回の
み行う農家が近年増加している。 現在、 500戸の繁殖経営のうち約60戸がこの給
与体系を導入している。 
 
  同町の切畑 (きりはた) さんは、 肉用牛 (飼養頭数13頭) と養豚の複合経営を
行っているが、 省力化を目的として平成元年からこの1日1回給与体系を導入し
ている。 
 
  この給与体系の導入による効果は、 @省力化 A飼料コストの低減(1日2回給
与時の7〜8割程度の量) B夜間分娩の減少 (生理学的メカニズムは、 はっきり
しないが、 研究機関のデータでも夕方から夜間にかけての給与で昼間に分娩する
傾向が多くなっている事は実証済み) などが挙げられる。 
 
 この給与体系による障害はまったく見受けられず、 発情兆候も強く、 分娩後40
日程度で授精を行っているので、 年一産を実現 (分娩間隔12. 1カ月) している。 
昨年度出荷された子牛の (去勢、 雌子牛平均) 販売価格も440千円と良い成績で
あった。  ただし、 誰でもこの給与体系を導入すれば必ず成功するというもので
はなく、 一定の飼料の配合技術や牛の飼養管理技術が必要とされる。 複合経営等
で省力化の必要がある肉用牛繁殖部門で、 今後このような給与体系の導入を検討
することは価値があるのではないだろうか。 
  
 

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