豚 肉


◇グラフ1◇

◇グラフ2◇




10月の生産量 前年同月と同水準

 10月の国内生産は、 と畜頭数が156万7千頭 (▲0.5%) と前年同月並みとなり

 (図1)、 生産量も、 と畜頭数の回復を受けて、 8万2千156トンと前年同月と同

水準になった (図2)。 しかし、 長期的には飼養頭数の減少から、 依然減少傾向に

ある。 

 また、 平均枝肉重量 (全国平均) は、 74. 9kg (0. 5%) と、 前年同月並みとな

った。 



10月の輸入量 過去最高の11万トン台となる

 10月の輸入量は、11万4千914トン (144.2%) と過去最高の輸入量となった (図

3)。 これまで、 生産量の減少を背景に、 前年同月比では、 7年5月から大きな伸

びを示してきた輸入量であるが、 特に10月は、 9月末の未通関在庫約1万5千トン

が通関されたことや、 11月からのSG発動を見込んでのかけ込み輸入が大量にあった

と見られ、 常識的な需給の範囲を超えた輸入量となった。 冷凍品は、 9万4千613

トン (182.7%) と前年同月の約2.8倍となり、 冷蔵品も2万302トン (49.3%) と

大幅に増加した (図4)。 

 輸入相手国別では、 アメリカからの輸入が2万366トン (188.9%) と引き続き大

きく伸びている他、 SG発動を決定した9月に、 前年同月を大きく下回った台湾が4

万1千914トン (72. 5%)、 デンマークも3万6千12トン (215.8%) と、 いずれも

前年を大幅に上回った。 



10月の推定出回り量 前年同月をやや上回る

 10月の推定出回り量は、 13万6千638トン (5.9%) と前年同月をやや上回った 

(図5)。 国産品は生産量の回復とともに8万1千955トン (▲0.7%) と、 前年同

月並みの水準となった。 一方、 輸入品はSGの発動を見越して10月に前倒しの需要

があったと見られ5万4千683トン (17. 5%) と、 前年同月を大幅に上回った。 



10月の期末在庫量 過去最高の15万トン台

 10月の推定期末在庫量は、 15万8千354トン (85.0%) と、 前年同月を大幅に上

回り過去最高の水準となった (図6)。 国産品は、 これまでの生産量の減少を受け

て、 1万2千172トン (▲23.4%) と前年同月を大幅に下回った。 一方、 高い在庫

水準で推移してきた輸入品は、 輸入量の急増を受けて、 14万6千182トン (109.7

%) と前年同月の約2倍になった。 



10月の国産枝肉価格 前年同月をやや上回る

 10月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 輸入量の急増により、 市中の荷動きが悪

化し、 前月より大きく値を下げたものの、 うで、 ももへ買い意欲が強く、 396円/

kg (3. 1%) と前年同月をやや上回った (図7)。 

 11月の卸売価格 (速報値) は、 うで、 ももの部位に加工メーカーの買いが引き続

き入ったことに加え、 月初に輸入品の出回りが絞られたこと等から、 相場は堅調と

なり、 421円/kg (4.2%) と前年同月をやや上回った。 

 また、 10月の国産豚肉の仲間相場は、 総じて前年同月を上回ったが、 特にうで、 

ももが大きく値を上げ冷蔵品うでが459円/kg (17.4%)、 ももは547円 (13.4%)、

 冷凍品うでが464円 (27.1%)、 ももが534円 (21.3%) と前年を大きく上回った。 



10月の輸入豚肉仲間相場 総じて堅調

 10月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 ロースは台湾産、 米国産いずれも790円/

kgとなり、 台湾産が前年同月並み (▲0.5%) となったものの、 アメリカ産は前年

同月をかなり上回った (6.8%)。 ヒレは台湾産が1, 047円 (8.7%) と前年同月を

かなり上回ったものの、 アメリカ産は939円/kg (0.2%) と前年同月並みとなった

 (図8)。

 台湾産かたロースは731円/kg (5.2%) と前年同月をやや上回り、 もも肉も、 加

工仕向けの需要の増加を受けて587円と前年をかなり上回った (8.%)。 

 冷凍品は、 前月と比べて総じて値を上げ、 前年同月と比べても、 総じて上回った。

 特に、 台湾産のヒレ、 うで、 ももは引き続き堅調となり、 いずれも前年同月を大幅

に上回った (それぞれ27.1%、 39.1%、 22.6%)。 


今月のトピックス


業務用・外食等の消費動向


 豚肉の消費の構成は、 家計消費が全体の4割、 加工仕向及びその他 (業務・外食

等用) が、 それぞれ3割となっている。 

 最近の消費動向をみると、 加工仕向は、 平成6年1月以降、 前年同月を上回って

推移し、 また家計消費は、 平成7年4月から前年を上回って推移している。 

 全体の消費量 (推定出回り量) は、 8月、 9月と前年同月を下回っており、 その

他仕向の減少率が、 家計消費及び加工仕向の増加率を上回ったものと見られる。 こ

の背景には、 それまで業務・加工等用の原料の一部として使用されてきたうで、 も

も等のスソ物を、 SGの発動を見込んだ加工メーカーが、 比較的早い時期に手当てに

入ったため、 市場では豚肉のスソ物が不足し、 業務・外食等需要の一部が豚肉から、 

牛肉や鶏肉にシフトしたことが一因と見られる。 

 10月の推定出回り量は、 冷凍豚肉の急増などから、 業務用、 外食用向けに一時的

に需要が戻ったと見られるが、 11月以降は、 再びスソ物の需給がひっ迫するとみら

れるだけに、 今後の動向が注目される。 


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