◎地域便り


和牛農家直営のステーキハウス−消費拡大は地元から−

岩手県 横島克廣



 岩手県南部の胆江 (たんこう) 地方は、 和子牛を 「陸中牛」 の銘柄で全国に供給するととも
に、 肥育牛も、 優れた素牛を背景に日本一の肉質を誇る 「いわて前沢牛」 や 「いわて水沢牛」 
などとして、 高い評価を得ている。 

 この中心地水沢市で、 牛肉生産から消費まで取り組んでいるのが、 菊地憲野・清子さん御夫
婦である。 レストランの名称は、 ステーキハウス 「パイオニア牧場」、 肉もお米も野菜も全て
自家産で (和牛肥育170頭は憲野さん、 ステーキハウスは清子さん、 野菜は御両親が担当) 提
供している。 

  「自分の生産したものを、 地元の人たちにできるだけ安く食べてもらいたい」 「牛肉の美味
しさを知ってもらい、 消費拡大につなげたい」 との願いから、 清子さんが調理師の資格を取り、 
プロの調理人の特訓で牛肉の見分け方・切り方を学び、 接客は参考書で独習を重ね、 平成4年
からパイオニア牧場をスタートさせた。 

 メニューは1頭をムダなく使い切れるように工夫しており、 「おまかせ牛肉野菜盛り合わせ
−3コース」 をメインに、 ハンバーグやソーセージの加工も行っている。 

  また、 輸入肉との食べ比べができるコーナーもある。 

 無我夢中で始めたレストラン経営ではあるが、 早や3年が経過した今、 「消費者と直接付き
合う意味がやっと分かってきた」 と感じている一方、 忙しさの中にも 「農家としての意識」 
を念頭において、 頑張っている菊地さん御夫妻である。 

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