◎地域便り


なくてはならない乾燥ハウス

愛知県 森下 忠



 愛知県の知多中央道路を半田常滑ICで下り、 半田市あるいは常滑市方向へ車を走
らせると、 牛舎とその隣のハウスが目につく。 このハウスが、 半田市の酪農家の努
力の成果 「牛ふん乾燥ハウス」 である。 この乾燥ハウスで、 ふんの水分を蒸発させ、
扱いのやっかいな生牛ふんから扱いやすい乾燥牛ふんを生産する。 

 1棟1千万円前後する乾燥ハウスが、 農家によっては2棟、 3棟と立ち並ぶ姿は、 
この地区の酪農家がふん尿処理に前向きに取り組んできた証拠である。 乾燥ハウス
で生産された乾燥牛ふんは、 たい積発酵施設へ、 あるいはそのまま露地裁倍農家へ
と運ばれる。 


 半田市内には、 昭和61年に組織された 「半田市グリーンベース生産組合」 と、 平
成4年に組織された 「半田市環境整備組合」 の2組織がある。 乾燥ハウスで生産さ
れた乾燥牛ふんは、 この2組織の持つ発酵施設に集められ、 牛ふんたい肥に生まれ
変わる。 ここで生産されたたい肥は、 完熟状態になっており、 市場での人気もたい
へん高い。 

 また、 知多半島南部の南知多町の国営パイロット事業で造成された農地約400ha
には、 地力増進のために、 南知多圃場利用組合による乾燥ふんの運搬がなされてい
る。 運ばれる乾燥ふんには、 ハエの脱皮阻害剤が散布してあり、 運んだ先での環境
問題にも配慮した処理を行っている。 

 このように、 半田市の酪農家にとって乾燥ハウスは必要な設備の一つとして、定着
しており、 これなくしては規模拡大もできない状況である。 


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