◎地域便り


女性のパワーで山口和牛の里づくり“山口女性愛牛くらぶ”

山口県 上田正士



 山口女性愛牛くらぶ設立大会が11月13日、 山口市において盛大に開催された。くら
ぶは、 肉用牛に携わる女性が集い、 連携することで国際間・産地間競争に打ち勝つ
肉用牛生産を進めるのが狙いで設立された。 

 現在、 県内では、 1,720戸の農家が22,031頭の肉用牛を飼育 (平成7年2月1日時
点・県畜産課調べ) しているが、 戸数は10年前に比べほぼ半分に減少した半面、 1戸
当たりの平均飼養頭数は12.8頭と2倍に増え、 多頭化が進展している。 このため、 女
性の肉用牛への係わりは次第に大きくなり、 従前の 「単なる労働力提供」 から、 最近
では、 「肉用牛経営の真の担い手」 として女性の比重がますます高くなっている。 

 このような中、 県下では、 農協の和牛婦人部など16の肉用牛関連の女性グループ
(総勢419人) があるが、 それぞれの地域内での限定された活動しかできず、 女性の間
から 「牛の生産に携わっている女性同士が広範囲に連携し、 情報交換などをする機会
がほしい」 との声が強まり、 県肉用牛振興協議会と県が組織化を進めていたものであ
る。 

  「くらぶ」 では、 年1回全県規模の研修・交流会を開くほか、 地域ごとに定期的な
研修会を開催し、 もうかる牛づくりのための技術や知識を学び合うこととしている。 

 当日は、 県下各地から肉用牛生産の一翼を担う女性300人のほか、 関係者を含めて
330人が県社会福祉会館大ホールに集い、 午前10時半からの設立大会に臨んだ。 むつ
み村畜産組合婦人部会長の吉松梢江さんを代表に選ぶなど役員の選出と規約の成立の
後、 「女性のパワーで山口和牛の里づくり」、 「育もう山口和牛は女性の愛で」 など3
つの大会スローガンが採決された。 設立大会行事は、 司会進行を含め、 すべて女性で
行われたほか、 知事夫人からの激励も受け、 女性組織の発会にふさわしい雰囲気であ
った。 



 【330人が集まった設立大会】



 記念講演では、 牛と自然に魅せられて農水省から岩手県東和町の職員に転身、 兼業
農家に嫁いだ同町農林課主幹の役重真喜子さんが 「私の村おこしの原点、 それは牛 
(ベコ) との出会いから」 と題して、 いろんなエピソードを交えながら、 農村社会に
おける女性のありようについて力説されるなど、 大会最後の行事も女性講師により締
めくくられた。 


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