◎地域便り


子牛せり市で育種価を活用

鹿児島県 坂元信一


 平成3年にスタートした育種価評価事業については、 鹿児島県も当初から積極的
に取り組んできたが、 思うように進まずしばらく足踏みの状態が続いた。 ようやく
昨年夏より育種価 (遺伝的評価法により産肉成績を数値化したもの) 評価に対する
機運が高まり、 昨年だけで約8,000頭の枝肉データが報告され、 それに基づき育種
価が推定された繁殖雌牛は平成7年6月末で16,000頭 (県内の繁殖雌牛の約15%) 
となった。 

 そこで、 子牛生産農家および肥育農家が育種価を有効に活用できるよう子牛せり
市名簿に育種価の表示を行うこととなった。 表示に当たっては、 時期尚早であると
か、 子牛の期待育種価だけでなく母牛の推定育種価も表示すべきであるとか、 ラン
クを細分化すべきであるなどの意見が出された。 最終的には準備の整った地区から
子牛の期待育種価のみを表示することとなり、 本年4月から鹿児島中央家畜市場を
皮切りに育種価表示がスタートし、 現在では県内の全市場の子牛せり市名簿に育種
価が表示されている。 

 育種価指標は、 A、 B、 Cの記号で表示する。 推定育種価の判明した繁殖雌牛の平
均以上を2つに分け、 上位をA、 Aと平均の間をB、 平均以下をCとランクづけしてい
る。 せり市名簿には、 子牛の推定育種価の脂肪交雑がB以上のものが表示され、 枝
肉重量、 ロース芯面積、 脂肪交雑、 皮下脂肪厚の4形質について記号で表示されて
いる。 

 和牛登録協会県支部では育種価の啓もうを図るため、 ポスターと 「育種価のおは
なし」 と題したリーフレットを3万5千部作成し関係者に配布した。 5月からは子
牛登記証明書に、 7月からは登録証明書に父牛と母牛の推定育種価 (枝肉重量、 ロ
ース芯面積、 バラの厚さ、 皮下脂肪厚、 推定歩留、 脂肪交雑の6形質) をA、 B、 C
の記号での表示を開始した。 

 推定育種価の判明した繁殖雌牛は、 県全体の繁殖雌牛の約15%にすぎず、 今後、 
いかにしてより多くの正確な枝肉データを収集できるか、 育種価に対する取り組み
姿勢の地域格差を早急に縮められるかどうかが課題になっている。 


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